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プロロジス、新倉庫にトラック予約システム導入

2021年8月19日 (木)

プロロジスパーク猪名川2(右・出所:PROLOGIS)

サービス・商品プロロジス(東京都千代田区)は19日、8月26日に完成予定のマルチテナント型物流施設「プロロジスパーク猪名川2」(兵庫県猪名川町)に、Hacobu(ハコブ、東京都港区)が提供するトラック予約・受付システム「MOVO Berth」(ムーボバース)を導入すると発表した。入居を決めている企業3社が、ムーボバースを活用した待機時間の短縮や入出庫作業の効率化を進める。物流業DX(デジタルトランスフォーメーション)に注目が集まるなかで、物流施設の差別化を図る要素として、物流施設開発企業が先進システムの導入を推進する動きが広がってきた。

ムーボバースは、トラックなど輸送車両の待機解消や円滑な誘導、入出庫作業の効率化などを支援する。「プロロジスパーク猪名川2」では、ムーボバースの車両受付業務にかかる機能を導入する。

▲MOVO Berth(出所:Hacobu)

通常は手作業で行われるトラックの入退場管理を、タブレットを利用しデジタル化することで作業負荷を軽減するほか、車両の到着や作業状況、トラックバースの稼働状況などをリアルタイムで画面上で把握できる。トラックバースへの誘導や入出庫作業開始の連絡をスムーズに進められることから、業務効率を向上できる利点がある。

さらに、車両数や待機・作業時間などの実績データをダッシュボードで確認し分析することで、車両到着時間の分散化や、作業効率化などの業務改善計画の策定にもつなげられる。プロロジスは、「プロロジスパーク猪名川2」の敷地共有部にトラックの受付・待機スペースを設置し、待機トラックが敷地外に並ぶ状況を避ける。

物流施設の価値判断は「DX」で決まる時代に?

プロロジスが完成前の物流施設に先行してムーボバースの導入を決めたのは、こうした先進システムが他の物件との差別化を図る最大の武器になると判断したからだ。物流施設の優位性を測る「ものさし」は、立地条件やトラックバース機能など物理的な条件が大きなウェイトを占めていたが、こうした要素はもはや基本的な前提であり、各種システムやロボットなど付加価値を追求するステージに進化している実情が浮き彫りになった。

物流現場は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う宅配需要の増大で、取り扱う荷物量の増大とともに、種類の多様化が進んでいる。こうした物流現場のひっ迫した状態が、コロナ禍による一過性の現象ではないことは、もはや明白であろう。コロナ禍が、消費スタイルそのものを変革してしまったのだ。アフターコロナ時代を見据えて、物流施設の開発に注力する動きが加速しているのはそのためだ。

プロロジスが今回導入を決めたようなシステムは、これまで入居する荷主企業が導入を推進する事例が多かった。しかし、家主にあたる物流施設の開発側が事前に装備して賃貸するスタイルは、入居企業にとって大きな判断材料になることは間違いない。それは、物流施設の選択基準の変化を意味している。コロナ禍が後押しした感も強い物流DX化は、物流施設開発のあり方にも変革をもたらし始めている。まさに、物流に関わる業界全体の「地殻変動」を予感させる現象と言える。(編集部・清水直樹)