ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

JA全農、東京青果と資本業務提携で物流効率化へ

2021年8月30日 (月)

イメージ図

フード全国農業協同組合連合会(JA全農)が、国内最大の青果物卸売会社の東京青果(東京都大田区)と資本業務提携を結ぶことで合意した。青果物の安定的な販路確保や効率的な物流業務の推進が狙い。JA全農は今回の提携により、消費者のニーズを重視した「マーケットイン」の事業展開を強化することで、農業ビジネスの持続的な成長を実現する契機とする。

JA全農は東京青果の株式の1.5%を取得。国内外に幅広い顧客層を有する東京青果との関係強化により、生産基盤の維持・拡大や国産青果物の国内外での販売拡大などで協力して取り組む。

具体的には、実需者を明確にした青果物取引の強化による安定的な販路確保を推進するとともに、果樹を中心とした青果物の生産振興を図る。さらに、東京青果の抱える顧客基盤を活用した輸出事業における連携を強化するとともに、青果物の物流業務における合理化を進めていくとしている。

JA全農は物流業務の改革で経営改革を

JA全農が、国内最大の青果物卸売会社の東京青果に出資する形で提携を結んだ。政府による経営改革を求められるJA全農だが、青果物の物流のさらなる効率化による生産者と消費者へのメリット創出に期待したい。

イメージ図

JA全農は2020年5月にまとめた「農業をめぐる今日的課題への取り組み事例」で、青果物における産地物流の合理化について、共同配送に注力していく方針を明記している。集荷に必要な配送手配が困難になりつつある現状を踏まえて、集荷・出荷の実態を把握したうえで、可能な地区からJAの集荷・出荷施設の集約や産地ストックポイントの整備を進めることで、JAの枠組みを超えた共同配送を推進する。さらに、消費地では、既存のストックポイントの利用拡大や新設、パレット輸送の強化を組み合わせることで、県域をまたいだ共同配送を進めるとしている。

今回の提携も、こうした物流の合理化をさらに進める契機となることは間違いない。生活スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う「食」をめぐる消費者ニーズの変化に、JA全農も対応していく必要がある。今回の提携は、「マーケットイン」の発想による事業展開の決意を色濃く示したものだ。物流効率化策をテコとして、生産者とともに消費者にも愛されるJA全農となるための経営改革が求められていると思う。(編集部・清水直樹)