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北米宅配業者の54%「スマホで運転者不足を補う」

2021年9月10日 (金)

出所:SCANDIT

ロジスティクスAR(拡張現実)のリーディングプラットフォームを企業向けに提供するScandit(スキャンディット)は10日、北米のラストワンマイル配送業者の54%が、ドライバー不足対策としてスマートフォンを活用しているとする調査結果をまとめた。消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配ニーズの高まりで、物流現場の取扱量が増加し人材不足が露呈するなかで、多機能のアプリケーションを搭載したスマートフォンを導入する動きが加速していることが分かった。

出所:SCANDIT

スキャンディットは、物流や郵便など企業118社を対象に、ラストワンマイル配送の課題にかかる調査をオンラインや電話で実施。運輸業の多くが抱えるラストワンマイルの課題として、全体の38%が「適正な資格を有するドライバーの確保」を挙げた。「配送プロセスをより効率的なものに改善する必要を感じている」企業は24%、「配送需要に見合ったキャパシティを増やすこと」とした回答も22%あった。

ドライバー不足が顕著となるなかで、従業員が持つスキャナのスマートフォン型への移行が世界的なトレンドになっていることが分かった。北米では、「スキャン専用ハンディターミナルの代わりにモバイルアプリケーションを搭載したスマートフォンをラストワンマイルのドライバーの主なデバイスとして使用している」との回答が54%に達した。

スキャン機能を持つモバイルアプリケーションを搭載したスマートフォンは、配達証明やID(身分証明)認証、小包の検索など、ラストワンマイルの業務でさまざまな作業に使用されている。スマートフォンベースのソリューションへの移行理由として、従業員の満足度向上や、スマートフォンの機能性と柔軟性を生かして複数デバイスの作業の集約による効率化推進が挙げられる。

人手不足は技術力と現場の知恵で補おう

物流現場におけるドライバーなど人手不足は、なにも日本国内だけの話ではない。米国でも、輸送の担い手であるドライバー不足は深刻な社会問題になっており、その解決法として脚光を浴びているのがスマートフォンだ。携帯端末の枠を超えて、物流人材の不足を補う業務効率化に一役買っているスマートフォン。人手不足に悩む日本の物流業界も参考にすべき要素と言えるだろう。

スキャンディットによる今回の調査で、従来の物流業務の定番だったハンディターミナルからスマートフォンへの移行を歓迎する理由として85%が「高い満足度」を挙げているのが印象的だ。生活にすっかり浸透しているスマートフォンの業務での活用は、機能の高さもさることながら、抵抗なく使える便利さが後押ししているのは間違いないだろう。

今回の調査から明らかなのは、物流現場におけるDX(デジタリトランスフォーメーション)化に必要な要素として、抵抗なく受け入れられるシステムの導入を意識する重要性だ。新しい機器を投入する際、現場はどうしても操作に馴染めず混乱しがちで、予想外のトラブルを招くことも珍しくない。アプリを起動するスタイルに慣れているスマートフォンであれば、こうしたストレスも軽減できるというわけだ。ここは、技術力というよりも現場の「知恵」のなせる技と言えるかもしれない。(編集部・清水直樹)