ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ニトリが海コン輸送に参入、拠点配置に合わせ拡大

2021年9月27日 (月)

ロジスティクスニトリグループの物流機能を受け持つホームロジスティクス(札幌市北区)は27日、一般貨物自動車運送事業の新会社「ホームカーゴ」を設立したと発表した。ホームロジスティクスが運用を担う。併せて、神戸市中央区のポートアイランドに新拠点「神戸DC」(仮称)を立ち上げることも明らかにした。

ホームロジスティクスがホームカーゴを設立するのは、ニトリグループの規模のメリットを生かして輸配送と保管、入出荷業務を一貫した体制で運営するのが狙いで、9月下旬には関東圏内で海上コンテナ輸送(ドレージ輸送)を開始する。自社保有車両を投入することにより、港から物流拠点までの輸送効率を高める。

物流業務を一貫管理するだけでなく、ニトリグループとして製造、物流、IT、小売という幅広いサプライチェーンを一元的にグループで手がけ、商品供給の安定性とコストの可視化、労働環境の改善につなげる。

「製造物流IT小売業」を独自のビジネスモデルとして打ち出すことになったわけだが、まずは国内ドレージ輸送の一翼を担うため、ニトリ関東DC(埼玉県白岡市)内にホームカーゴ埼玉営業所を開設、9月下旬から関東圏内のドレージ輸送をスタートする。

他方、神戸DCはニトリグループがすすめる国内物流拠点の再配置戦略に基づくもので、この戦略では石狩DCに続く新拠点となる。ニトリ店舗の出店加速、顧客のライフスタイル変化に伴うEC需要拡大をにらみつつ「物量に見合う入出荷機能の拡充」と「コスト削減」を図るのが狙いで、既存の物流センター「関西DC」(神戸市中央区)から2.5キロ程度の近距離に立地。神戸港に近接する立地を生かし、国際物流と関西圏の広域配送拠点の二役を担う。

神戸DCの完成予想図

建物は耐震構造、地上4階建てで敷地面積3万2239平方メートル(9752坪)、延床面積は8万1354平方メートル(2万4609坪)。11月1日に着工し、2022年11月5日の完成を目指す。

同社は「今後は国内の物流拠点再配置に合わせて(ドレージ)事業を拡大していく」との計画を打ち出しており、同社が海コン輸送への参入と神戸DCの新設を同時に発表したのは、輸入の多い事業である同社のビジネスモデルに沿ったものと見ることができよう。

■ホームカーゴの概要
代表者:柳川弘之氏(代表取締役社長)
本社所在地:東京都北区神谷3-6-20
資本金:1億円
設立:2021年2月1日
事業所番号:440024445
許可番号:関自貨第506号
ホームページ:https://www.homecargo.co.jp/

ニトリグループの物流改革が幕を開けた

ニトリグループの物流改革プロジェクトが動き出した。今後のさらなる業容拡大において、さらなる効率化を進める必要がある分野として、物流に着目した。まさに「物流は経営そのものだ」との認識を改めて示したと言える。

今回の物流改革で特筆すべきなのが、海上コンテナ輸送(ドレージ輸送)に参入することだ。自社保有車両を投入することにより、港から物流拠点までの輸送効率を高めるのが狙いだが、輸入にかかる業務をニトリグループの管理下に置くことで、より柔軟なサプライチェーン運用を実現する目論見だ。もちろん、この領域における効率化によるコスト効果も見込んでのことだろう。

小売店が収益確保に悩むのは、物流にかかるコストがなかなか圧縮できないからだ。その意味で、低価格路線で常に業界に新風を吹き込んできたニトリグループのビジネスモデルを維持するために、物流改革が不可欠なのは言うまでもない。裏を返せば、物流を含めた経営意識が徹底しているニトリグループの強さを浮き彫りにしたわけだ。「物流を制するものが小売りを制す」というフレーズが、ますます業界の定石になっていきそうだ。(編集部・清水直樹)