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三菱造船が大型フェリー建造、来春から阪九間就航

2021年10月11日 (月)

ロジスティクス三菱重工グループの三菱造船は8日、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)と名門大洋フェリー(大阪市西区)から2隻を受注して建造中の大型フェリーのうち、2番船の進水式を下関造船所江浦工場(山口県下関市)で行ったと発表した。

原動機や室内外の各種装備を船体や車体や機体に取り付ける工事や試運転などを経て、02年から運航する「フェリーふくおかII」に替わり、22年3月から名門大洋フェリーが運航する大阪と北九州・新門司を結ぶ航路に就く。

今回完成した船舶は、「フェリーふくおか」と命名され、鉄道・運輸機構と名門大洋フェリーが共同で所有する。長さ195メートル、幅27.8メートル、深さ20.3メートル、総トン数1万5400トンと名門大洋フェリーとしては歴代最大。675人の旅客定員と、12メートルトラック162台に乗用車140台の積載能力を誇る。

内装デザインは近代的なウォーターフロントを感じさせる「ベイサイドシティのきらめき」をコンセプトとし、船体の大型化による広々とした公共スペースと開放感のある展望レストランや展望浴室、展望ラウンジを設けて快適なクルージングシーンを提供する。乗用車用積載スペースを旅客甲板に確保し、客室の大部屋を廃止してベッド化するなど、空間の有効活用を意識した仕様としている。

機能面では、推進プラントにハイブリッド型アジマス推進加勢方式を採用。空気潤滑システムと組み合わせることで、大幅な省エネと操船性向上を実現している。省エネによるCO2低減に加え、ハイブリッド型スクラバーを装備することで大気中に放出するSOx(硫黄酸化物)も低減し、地球環境に配慮した運航を実現する。

陸上輸送のCO2削減や長距離ドライバーの不足、就労環境の改善の観点から、海上へのモーダルシフトの機運が高まり、フェリー輸送の需要や、船舶の大型化に期待が集まっている。三菱造船は今後も、燃費性能や環境性能に優れた安定運航に資するフェリーや貨客船の建造により、ビジネスパートナーとともに多様な課題を解決し、海上交通の活性化と環境保全に貢献していく。