ロジスティクス物流倉庫で外国人材の受け入れに向けた準備が本格化する。2027年4月に始まる育成就労制度を巡り、外国人技能実習機構(OTIT)は9月1日から、制度施行に先立って育成就労計画の認定申請を受け付ける。物流倉庫分野では、26年度から28年度までの外国人材の受け入れ見込数を1万8300人としている。制度を見ると、人手不足を外国人材だけで補うのではなく、倉庫管理システム(WMS)などによる生産性向上と国内人材の確保を進めたうえで、それでも残る不足分を外国人材で補う構造となっている。
物流倉庫分野が特定技能と育成就労の対象に加わったのは、ことし1月23日の閣議決定。育成就労は、技能移転による国際貢献を目的としてきた技能実習制度に代わり、人手不足分野で外国人材を育成・確保する制度として27年4月1日に始まる。物流倉庫では育成就労と特定技能1号が対象で、現時点で特定技能2号は対象となっていない。
対象業務は、入出庫貨物の受け渡しや検品、貨物の移動、保管庫への格納、ピッキング、流通加工など。育成就労では就労開始前に日本語能力A1相当以上の試験合格、または相当する日本語講習の受講を求める。特定技能1号では技能評価試験への合格と、日本語能力A2相当以上が必要となる。
不足5.5万人、生産性向上で2万人分
外国人材の受け入れ規模を決める政府の計算には、WMSなどを活用した生産性向上が組み込まれている。
国土交通省などが策定した物流倉庫分野の運用方針では、24年時点の人手不足を1万9000人程度と推計。倉庫面積の増加や採用、離職の傾向を加味すると、28年度には34万人程度の就業者が必要になり、対策を講じなければ5万5100人程度が不足すると見込んでいる。
これに対し、WMSなどの活用による生産性向上で2万300人程度、女性や高齢者の起用による追加的な国内人材の確保で1万6500人程度の不足を補う。それでも残る1万8300人を、外国人材の受け入れ見込数としている。
5万5100人の不足を100とすると、単純計算で生産性向上が36.8%、国内人材の追加確保が29.9%、外国人材が33.2%を占める。外国人材だけに人手不足の解消を委ねるのではなく、3分の1強をWMSなどを含む生産性向上で補うことを前提としている。
外国人材1万8300人の内訳は、特定技能1号が26年度から28年度までの3年間で1万1400人、育成就労が制度開始後の27年度から28年度までの2年間で6900人となる。
受け入れ条件にもWMS
WMSなどを活用した生産性向上は、人手不足の需給計算に盛り込まれているだけではない。外国人材を受け入れる事業者の要件にも位置付けられている。
国交省が物流倉庫分野で定めた上乗せ基準では、特定技能所属機関と育成就労実施者に対し、入庫管理、在庫管理、出庫管理の機能を持つ情報システムの利活用を求めている。同省はこの情報システムについて、WMSを念頭に置いていると説明する。WMSという名称の商品である必要はなく、3つの管理機能を満たしていればよい。自社所有も必須ではなく、外国人材が働く事業所で利用できる状態であれば条件を満たす。
さらに、生産性や労働安全衛生の向上につながる機器または情報システムの利用も求める。これらは、入庫・在庫・出庫を管理する情報システムと連携し、機能を拡張するものでなければならない。利用状況については分野別協議会で確認する予定としている。
このため物流倉庫分野では、外国人材の受け入れだけで人手不足を補う制度設計にはなっていない。受け入れ企業には、入出庫や在庫を情報システムで管理し、生産性や安全性を高める機器などと連携させる運用が求められる。
「育成」を前提に技能を段階評価
育成就労は、外国人材を単純な労働力として受け入れる制度ではなく、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育成することを目的としている。物流倉庫分野では、育成就労開始後1年経過時までに「物流倉庫分野育成就労評価試験(初級)」で技能水準を確認し、育成就労終了時の技能水準は「物流倉庫分野特定技能1号評価試験」で確認する。
一方、受け入れ事業者には、入庫、在庫、出庫を管理する情報システムの利活用など、物流倉庫分野独自の上乗せ基準が設けられている。物流倉庫では、人材の育成・技能評価と、庫内業務のデジタル管理がそれぞれ制度の中に組み込まれている。
物流倉庫分野の上乗せ基準では、マニュアル化や多言語化そのものは要件として示されていない。ただ、外国人材を段階的に育成する仕組みと、入出庫・在庫をシステムで管理する仕組みの双方が求められる。
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