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日本郵船など、バイオマス発電用植物の栽培研究へ

2021年11月30日 (火)

▲バイオマス燃料の原料となるソルガム(出所:日本郵船)

環境・CSR東京大学大学院農学生命科学研究科と出光興産、日本郵船の3者は29日、出光興産の保有する豪クイーンズランド州エンシャム石炭鉱山の遊休地を活用して、石炭と混焼可能なバイオマス発電燃料用植物ソルガムの栽培試験に関する共同研究を実施することで合意したと発表した。

温室効果ガス削減の観点から、今後石炭火力発電所において石炭とバイオマス燃料の混焼需要が高まることが予想されている。3者はバイオマス燃料の原料としてイネ科の一年草植物であるソルガムに着目。植生地の特性に合った最適品種の選定や栽培方法の確立における共同研究を実施する。品種の選定や栽培方法については、東京大学大学院農学生命科学研究科の持つゲノム育種技術・遺伝子解析・栽培技術にかかる知見などを活用する。

ソルガムは種まきから3か月で収穫できるため年間に複数回の収穫が可能。干ばつに強く高い環境適応能力を持つことから、厳しい耕作環境下でも生育が見込めるのが特徴だ。食料用途との競合も発生しないため、バイオマス発電燃料の安定供給に寄与する有力な原料のひとつとして期待されている。

出光興産が2020年に実施したエンシャム石炭鉱山でのソルガム栽培と燃料化試験では、当地におけるソルガムの順調な生育を確認。今回の共同研究では、前回の試験をさらに発展させる形で、事前に選定したソルガム17品種の栽培試験を実施し、従来に比べ高収量・高発熱量となる発電燃料に適した品種の選抜を行うことで、同地における効果的な栽培方法を確立する。

3者は今回の共同研究を踏まえて、将来的には共同研究の成果を活用し、石炭火力混焼用のバイオマス燃料の製造・輸送・販売といったサプライチェーンの構築を目指すことで、石炭火力発電からの温室効果ガス排出削減へ貢献していく。