
拠点・施設東京流通センター(TRC)は16日、東京都大田区の平和島地区で進めている物流施設再開発プロジェクト「物流ビル新A棟」の建設の安全を祈願する地鎮祭を執り行った。1971年完成の「物流ビルA棟」の老朽化にともなうもので、ことし5月末で閉館し、6月から解体工事、今月1日から建設工事が進められていた。

▲地鎮祭の様子
地鎮祭には、建築主であるTRCのほか三菱地所設計、鹿島建設の関係者約30人が参加した。終了後、倉庫機能に加えフレキシブルな用途に入居企業がカスタマイズできる「倉庫+α(アルファ)」のイメージが体感できるモデルルームもメディアに披露された。
新A棟は、延床面積20万5000平方メートルの6階建てで、汎用性の高い高機能な小割り区画で多様化する物流ニーズに応える。標準区画で1435平方メートル、最小で478平方メートルと都心エリアでは最小水準の面積を用意することで、都心の好立地な環境でありながら、無駄のない拠点構築を後押しする。
モデルルームは標準区画で開設されており、実際の倉庫区画のサイズ感や、執務室や休憩室といった多様な用途に利用できるイメージを体感することができる。
今月1日からオープンしたところ、幅広い業種から1日2、3組の見学があるという。入居企業の要望に応じて、区画整備の提案を行っている。

▲モデルルームの倉庫ゾーンの一例

▲モデルルーム内の会議スペース
相次ぐ施設開発がもたらす光と影、バランスよく目を向けたい
今回の新A棟の建設は、これまでのA棟の老朽化もさることながら、新型コロナウイルスによる通販需要の急増などといった社会環境の変化や、物流ニーズの多様化を、意識したものにもなっている。
レイアウトの自由度を高くした「倉庫+α」のコンセプトもその一つだし、よりフレキシブルな面積帯やスペックも兼ね合わせることで、都心への抜群のアクセスを持ちながら、事業ステージに合わせた無駄のない拠点構築作りを後押しする。

▲歩行者と車両の動線が分離された歩廊

▲標準区画に設置されているバース
このような社会環境の変化といった追い風や、国土交通省の後押しもあり、ここ最近、このような大型物流施設の建設ラッシュが相次いでいる。
一方、急増する通販需要に、物流業界の人手不足や、長時間過密運行などによる労働環境の悪化は、より深刻化している。
成長や効率化を推し進めることによって生まれるひずみにも、私たちはバランスよく目を向けていきたい。(編集部・今川友美)