ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

全日本トラック協会が通知

後を絶たないタイヤ脱落事故、増し締め徹底を

2022年1月7日 (金)

行政・団体大型車の冬用タイヤ交換時におけるボルトの締めの甘さで、タイヤが脱落する事故が後を絶たないことから、全日本トラック協会(東京都新宿区)はこのほど、各都道府県の協会に対し「増し締めの徹底」を行うよう、会員への協力を求める通知を行った。

タイヤの脱落をめぐっては、2002年に横浜市で三菱自動車製のトレーラーのタイヤが脱落し母子3人が死傷する事故が発生したことで、社会からの注目が集まった。その後、メーカーや運送会社などの安全対策への動きが活発になり、事故も減少傾向にあった。

だが、国土交通省によると、大型車のタイヤ脱落事故は11年度は11件だったが、20年度には131件と、前年度比19件増の過去最多となった。

(出所:国交省)

昨年12月6日にも、広島市の国道2号の八本松トンネル内で、走行中の事業用大型貨物自動車から左後輪のタイヤ2本が脱落し、対向車などに衝突する事故が発生した。

国交省が事故を起こしたトラックを調査したところ、貨物運送事業者によるタイヤ交換後の増し締めの実施や、タイヤ専業店による増し締めについてのアドバイスなどが、一切行われていなかったことが判明した。

本来ならば業者には1日1回の日常点検が義務付けられているほか、「点検および自動車整備に関する手引き」でも、50~100キロ走行後の増し締めの実施についての明記がされている。

(出所:国交省)

国交省によると冬タイヤは、「雪が降る」という必要に迫られて、余裕のない状態で慌てて装着されるケースが少なくないという。20年の脱落事故のなかでも11~2月の冬期が、全体の65%と集中している。

そうしたことも受け国交省は、貨物運送事業者や自動車整備関係者に増し締めの徹底を求めた。今回の同協会の通知は、これを受けたものだ。

タイヤの脱落は、脱落した車だけでなく、ほかの車や歩行者などをも巻き込み、大惨事へとつながりかねない。もっとも脱落事故の起きやすい冬タイヤ装着するトラックの多くなっているこの時期、いま一度、自らの足元を見直したい。

■当該事故対向車のドライブレコーダー映像(出所:国交省の通知文書)