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政府が燃油価格抑制策を発動、物流業界はどう動く

2022年1月25日 (火)

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行政・団体萩生田光一経済産業相は25日の閣議後記者会見で、軽油など燃油価格抑制策を初めて発動すると発表した。高騰抑制のための補助金制度を実施して店頭価格を下げる。燃油価格の高騰による経済への悪影響を回避する狙いがあるが、実体経済への効果は不透明だ。物流業界は、原油価格の推移もにらみながらの神経戦が続きそうだ。

止まるところを知らない原油価格の高騰による社会への影響を考慮し、政府が補助金を投入して市場の価格決定に介入する。燃油価格抑制策は2021年の追加経済対策に盛り込まれており、レギュラーガソリンの全国平均小売価格が1リットルあたり170円を超えた場合に発動する。

21年の年末にかけてやや値を下げていた燃油価格はことしに入って再び上昇局面に転じ、1月17日時点のレギュラーガソリン店頭現金小売価格は1リットルあたり168.4円と前週から1.9円値上がりしていた。24日の時点で170.2円となったことから、燃油価格抑制策の発動に踏み切った。

政府は石油元売り各社に補助金を支給する方針。全国のガソリンスタンドなどにおける小売価格は、今週末から下がる可能性がある。今回の燃油価格抑制策は、激変緩和措置として補助金を支給。政府が石油元売り各社に1リットルあたり最大5円を補てんする。

今回は、発動ラインである170円からの超過分0.2円に、今週の上昇分として想定する3.2円を加えた1リットルあたり3.4円を、ガソリンや軽油、灯油、重油を対象に石油元売り各社に支給する。

物流業界は税制改正に踏み込んだ提言をすべきタイミングだ

政府が、ついに燃油価格抑制策を発動する。軽油価格の高騰に頭を悩ませていた物流業界にとってはほっと一息というところかもしれないが、まだ決して安心できる段階でないのは明らかだ。今後も原油価格の上昇局面を打ち消す材料は乏しく、政府の補助金にによる抑制策もあくまで対処療法でしかないからだ。

萩生田経産相は、今回の抑制策発動の意義について「これにより卸価格の上昇が抑えられ、それぞれの地域で急激な値上がりを抑制することが可能になる」と述べた。当座の経済混乱を回避するための政策であることは明らかだが、世界の原油相場に対する効果的な施策を講じるのが極めて難しい局面で、市場の価格決定に政府が介入する「異例」の施策しか手がなかったということだろう。

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とはいえ、いつまでも補助金の垂れ流しで解決できるわけでもない。いくら国民生活の基盤を成す燃油価格をめぐる政策とはいえ、今回の補助金支給は恒久的な政策を打ち出すための「時間稼ぎ」の意味合いもあると考えるべきだろう。例えば、ガソリンのかつての暫定税率を引き下げるトリガー条項の発動を視野に入れるなど、税率引き下げに踏み込んだ議論を本格化させていく絶好のタイミングでもあるはずだ。

ここで残念なのは、物流業界からのこうした政策提言の機運が高まっていないことだ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞からの回復や新興国の経済成長に伴う原油需要の世界的な増加による需給バランスの変動に加えて、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの増大も、原油価格の推移に影響を与える因子だ。

もはや、補助金支給の対処療法では軽油価格の安定化など期待できない局面にきていることを認識し、積極的な税制改正に向けた活動を起こすべきだ。政府による抑制策の発動がなされた今こそ、まさにその時だ。(編集部・清水直樹)