ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

フェデックスエクス社長退任、後任はスミス副社長

2022年3月15日 (火)

▲(左から)ことし末退任するドナルド・F・コラーラン社長兼CEO、後任のリチャード・W・スミス副社長(出所:Business Wire)

財務・人事米フェデックスコーポレーションは14日、傘下のフェデックスエクスプレスのドナルド・F・コラーラン社長兼CEO(最高経営責任者)がことし12月31日付で退任するトップ人事を発表した。後任にはリチャード・W・スミス米州地域プレジデント兼世界サポート担当執行副社長を充てる。

スミス氏はことし4月1日には次期社長兼CEOとなり、ことし9月1日に正式に就任する。コラーラン氏はことし12月末までCEO執行顧問としてフェデックスエクスプレスに留まり、職務の円滑な移行に努める。

コラーラン氏は1989年、フェデックスがコラーラン氏の勤務先企業を買収したことがきっかけで入社。92年には東京で海外営業・業務管理に就き海外でのキャリアをスタートさせ、香港、トロント(カナダ)と移り、トロントではフェデックスエクスプレスカナダの社長を務めるなど、海外事業の成長に大きく寄与した。その後は海外営業担当上席副社長を経て、2017年にはフェデックスコーポレーション執行副社長兼最高営業責任者、19年に現在のフェデックスエクスプレス社長兼CEOに就いた。

後任のスミス氏は2005年にフェデックスに入社。かつてはフェデックスロジスティクスCEO(社長兼最高経営責任者)を務め、世界貿易サービス担当副社長や生命科学・特殊サービス担当マネジングディレクターなどの幹部職も経験した。

フェデックスエクスプレス新体制、試されるのはコロナ禍収束後の事業展開とウクライナ情勢への対応か

フェデックスエクスプレスが、グローバル物流の主要プレーヤーとしての地位を揺るぎないものとした立役者の一人であるコラーラン氏の社長兼CEO退任を決めたことは、経営メンバーの世代交代とともに、新たな物流市場における事業戦略の構築に再び挑む覚悟を鮮明にした。

コラーラン氏がフェデックスの傘下に入ったフライング・タイガースから入社して40年あまり、フェデックスグループを取り巻く経営環境は激変した。先進国から新興国への経済シフト、中東をはじめとする地政学的リスク、リーマンショックなど世界同時不況、さらには新型コロナウイルスなどのパンデミックとウクライナ情勢。まさに激変の時代を経て、物流の使命が飛躍的に高まったことは間違いない。

(イメージ)

バトンを受けるスミス氏は、電気自動車戦略やコロナ禍におけるパンデミック対策として命を救うワクチンの配布活動など極めて重要な役割を果たした。リーダーシップにも定評があり、コラーラン氏の存在感とは一味違った経営手腕を発揮することも期待されている。

新興国における物流ニーズの高度化や新規市場獲得への対応など、グローバルを舞台とした事業展開の視界はどんどん広がっている。新生フェデックスの手腕が試されるのは、まずはコロナ禍収束後に再生した経済下での事業展開、さらにはロシアによるウクライナ侵攻を契機とした世界における経済の不安定要素への対応だろう。日本の物流業界との連携策にも期待したいところだ。(編集部・山中克浩、清水直樹)