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川崎汽船、海コンやドライバルク好調で大幅増益に

2022年5月9日 (月)

財務・人事川崎汽船が9日発表した2022年3月期連結決算は、売上高が前期比21.0%増の7569億8300万円、営業利益が176億6300万円(前期は212億8600万円の赤字)、経常利益が7.3倍の6575億400万円、親会社株主に帰属する当期純利益が5.9倍の6424億2400万円だった。

川崎汽船と日本郵船、商船三井の3社で共同出資するコンテナ船事業の持分法適用関連会社OCEAN NETWORK EXPRESS(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス、ONE)の業績好調などにより、持分法による投資利益として6409億9200万円を計上。そのうちONEからの持分法による投資利益計上額は6353億7800万円だった。

(出所:川崎汽船)

ドライバルク事業は、売上高が前期比51.9%増の2765億円、経常利益は237億円(前期は91億円の赤字)で黒字転換した。大型船市況は中国をはじめとする堅調な輸送需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大に伴う検疫体制の強化や極東での滞船増加で船腹需給が引き締まり、高水準で推移。中・小型船市況は、中国の経済活動再開やブラジルから中国向け穀物の堅調な輸送需要を背景に好調を維持。ロシアによるウクライナ侵攻の影響による代替地からの穀物の積み出しなど輸送パターンの変化も受けて、全体として底堅く推移した。

エネルギー資源事業は、売上高が15.6%増の897億円、経常利益が4.4倍の48億円で増収増益だった。油槽船事業・電力事業は大型原油船やLPG(液化石油ガス)船、電力炭船が中長期用船契約を背景に順調に稼働し、安定的に収益に貢献。液化天然ガス輸送船事業・海洋事業は、LNG(液化天然ガス)船やドリルシップ(海洋掘削船)、FPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)が中長期用船契約で順調に稼働した。

製品物流事業は、売上高が11.9%増の3802億円、経常利益が6.1倍の6408億円で増収増益だった。コンテナ船事業はONEがサプライチェーンの混乱と旺盛な荷動きを受けて輸送需給がひっ迫するなかで、全航路において運賃が高水準で推移。自動車船事業は新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続し、輸送需要が回復した。物流事業は、国内物流・港湾事業ではコンテナターミナルの取扱量が前期比で増加。国際物流事業も航空フォワーディング事業の荷動きが改善した。近海・内航事業は、近海事業で鋼材・木材の輸送需要が堅調に推移したもののバルク輸送で前期を下回り、全体の輸送量は前期を下回った。内航事業はフェリー輸送の市況が堅調に推移し、輸送量は前期を上回った。

2023年3月期の連結業績は、売上高7800億円、営業利益410億円、経常利益4700億円、親会社株主に帰属する当期純利益4600億円を予想している。