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オデーサ港再開しないと飢餓深刻化、WFPが警告

2022年5月9日 (月)

国際国連世界食糧計画(WFP)は6日、世界的な食糧危機に対処するため、ロシアによる侵攻で閉鎖されているウクライナ南部のオデーサ(オデッサ)港を早急に再開するよう呼びかける警告を発した。穀物の主要供給国であるウクライナからの輸出が戦禍で途絶えていることで、特にサハラ以南のアフリカで飢餓が深刻化すると予想している。

WFPによると、現在、数百万トンの穀物が黒海のオデーサと他のウクライナの港のサイロで止まっており、さらに多くの穀物が船内で足止めされている。各港が再開されなければ、ことし7月から8月には収穫物が保管場所を失い、廃棄食料の山が生じると予想する。WFPの分析では、世界では年初の時点で2億7600万人が飢えに苦しんでおり、今後、戦争が続けばサハラ以南のアフリカで急増し、4700万人の増加が見込まれるという。

▲国連WFPの食料配給場所でウクライナ産の小麦を受け取るエチオピア・ダバトの人々(出所:WFP)

戦争による混乱で穀物価格も急騰している。小麦とトウモロコシの輸出価格は、2022年前半では開戦前の21年比でそれぞれ22%と20%上昇。燃油高も重なり、WFPの活動経費は最高で月7100万米ドル増えた。ほぼ400万人に1か月間の食糧を供給する費用に匹敵するという。

WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は「今、ウクライナの穀物サイロはいっぱいだ。同時に世界では4400万人が飢餓に瀕している。港を開き、早期に輸出を再開するよう、すべての政治関係者に訴える」とコメントしている。