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「ジャパントラックショー2022」直前特集

海陸連携で持続可能な物流構築へ、商船三井フェリー

2022年5月10日 (火)

イベント「これからは異業種間でも交流の機会を持ち、持続可能な物流の仕組みを一緒に構築していかなければならない」。こう話すのは、ことしで就航50周年を迎えたフェリー「さんふらわあ」で知られる、商船三井フェリー営業二部の小島佑太氏と営業一部の大堀剛弘(まさひろ)氏だ。主に陸運関係者が集う「ジャパントラックショー」(5月12日~14日、横浜パシフィコ)で、フェリーとRORO船(フェリーのようにランプを備え、トレーラーなどの車両を収納する車両甲板を持つ貨物船)を用いたモーダルシフトや海陸一貫輸送を訴求し、「ともに物流改革に取り組む姿勢を見せていきたい」と意気込む。

▲商船三井フェリー営業ニ部の小島佑太氏

内航フェリーやRORO船を用いたモーダルシフトのメリットとして、環境負荷の低減やトラックドライバーの長時間労働の抑制といったことが一般的に知られているが、商船三井フェリーの小島氏によると、昨今の物流を取り巻く情勢変化で新たな需要が生まれてきているという。それが「トラックの延命」だ。長引く半導体不足で新車の供給量が減少し、中古トラックの価格も上昇しているため、先行きが見えるまでトラックが故障するリスクを減らす動きが出てきているのだ。

内航海運へのモーダルシフトは、SDGsやESG経営といった中長期的な観点に加え、現存するトラックの消耗を減らす喫緊の対策としても新たに注目されている。小島氏は「こうした課題に直面するトラック運送会社にも船舶輸送のメリットを知ってもらいたい」とジャパントラックショー出展の狙いを話す。

▲営業一部の大堀剛弘氏

商船三井フェリーが設定している北海道航路と九州航路のうち、大洗港と苫小牧港を結ぶ北海道航路は、ターミナルへの交通アクセスとリードタイムの短さが売りだ。大洗港と苫小牧港はいずれも高速道路のインターチェンジから近く、その分だけリードタイムを縮められる。首都圏と北海道を18時間で結ぶため、夕方便に載せれば翌日配送が可能だ。北海道航路を担当する大堀氏によると、「2025年には、深夜便を担う2隻のフェリーをLNG(液化天然ガス)燃料船に切り替えるため、さらなる輸送力アップとCO2(二酸化炭素)削減効果が期待できる」という。

首都圏と九州を結ぶ九州航路は、片道1000キロメートルを超える距離を船舶輸送に切り替えるため、一般的に知られるモーダルシフトのメリットを最大限享受できるほか、貨物専用のRORO船による運航のため、欠航が少ないのが特徴。貨物船ながら最大12人まで乗船できることから、自社ドライバーによる翌々日朝イチ配送が可能だ。

九州航路を担当する小島氏は、「物流業界においても、まだまだ船の活用方法やメリットが知られていない。『物流の2024年問題』が差し迫る中、より多くの人に内航船を知ってもらい、トラックと船を組み合わせた持続可能な物流を一緒に構築していきたい」と話す。商船三井フェリーは、異なる輸送モード間の交流を積極的に促し、モーダルシフトの旗手となることを目指す考えだ。