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ヤマトが福岡の久原本家と物流協定、3PL強化

2022年7月6日 (水)

ロジスティクスヤマト運輸(東京都中央区)は6日、福岡県久山町の総合食品メーカー、久原(くばら)本家グループ本社とパートナーシップ協定を結んだと発表した。福岡県と北海道を結ぶ久原本家の製品・原材料の物流を一括して請け負うとの内容で、ヤマトはこれを足掛かりに宅配事業と並ぶ3PL事業について一層の強化を図る構えだ。

協定は「共創ロジスティクスパートナーシップ協定」と言い、5日にヤマトの長尾裕社長と久原本家の河辺哲司社主が協定書に調印した。

▲(左から)ヤマト運輸社長・長尾裕氏、久原本家グループ本社社主・河邉哲司氏(出所:久原本家)

発表によると、この協定は、久原本家が7月14日に北海道恵庭市で予定している新工場開設が大きなきっかけとなった。久原本家は1893年創業の醤油蔵を起源にもつ福岡県の老舗企業。今では同県を拠点に全国に自前の販売店や百貨店内店舗、スーパーの売り場を広げている。原料であるコンブやタラコなどの調達元である北海道に工場を建設するのは事業拡大への大きなステップ。製造拠点が日本列島の東西に広がることで、それらを結ぶ高度なサプライチェーンの構築と最適化が課題となり、ヤマトの力を借りることにした。

ヤマトにとっても、2021年4月の旧ヤマトロジスティクスの統合以降、力を注いできた法人領域の事業拡大に弾みをつける狙いがある。

協定に基づく具体的な連携策は、久原本家の「調達・製造領域」と「販売領域」に大きく分かれる。調達・製造領域では、ヤマトのミドルマイルネットワーク(準幹線輸送)や各地の拠点「DEPOT(デポ)」を活用し、北海道、福岡両工場の原料調達に関わる物流を構築する。ミルクラン方式も使い、原材料生産者から効率的に調達する。販売領域では、久原の店舗・売り場・通販向けの各サプライチェーンを統合し、在庫を一元管理し、工場からの商品供給の最適化を進める。通販顧客向けの配達網は、すでにヤマトの宅急便が活用されている。

これらにより、例えば、久原本家は通販の商品配達日数の短縮や店舗でのスタッフの接客増進などの効果が期待できるという。また、商品配送に伴うトラックからのCO2排出量も削減できるという社会的課題の解決にも貢献できるとしている。

▲本協定による物流フロー