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SBSフレックの倉庫火災跡を歩く——編集長ルポ

2022年7月7日 (木)

▲出火から5日間燃え続けた倉庫は、外壁が燃え落ち鉄骨がむき出しになっている。重機によるガレキの撤去作業が続いている(茨城県阿見町、7月7日9時撮影)

国内むき出しになった鉄骨、地面に崩れ落ちたガレキ、すすで黒く汚れた壁。出火から5日間に及んだ倉庫火災の凄まじさが今も生々しく伝わる。そして鼻をツンと突く異臭も…。

SBSフレック(東京都新宿区)の物流施設「阿見第二物流センター」(茨城県阿見町)の火災が鎮火してから1日半が過ぎた7日午前、LOGISTICS TODAYの記者が火災跡に入った。内部の燃焼と消防隊による外からの放水、重機による壁の破壊の跡がまだ色濃い。広さ7300平方メートルの最新鋭倉庫は、約1か月前のきらびやかな稼働時から様相が一変、重苦しい曇り空の下、悲しい姿をさらしていた。

▲鉄骨にこびりつくウレタン。焼けたウレタンと倉庫内部で燃えた乳製品などの臭いが混じり、周辺には異臭が漂っている

焼け跡を歩いた記者の目についたのが、壁周辺の数か所で露わになった断熱材の残骸だ。断熱材は冷凍・冷蔵倉庫の重要部材だが、素材のウレタンがあるところでは真っ黒に変色し、別のところでは元の黄色を残したまま鉄骨に付着している。出火時の消防覚知が「ウレタンフォームがくすぶっている」という通報だったことを思い出した。関係者によると、火災跡に今も漂う異臭は、この焼けたウレタンの臭いに、倉庫内部で燃焼した乳製品などの荷物の臭いが混じったものらしい。

建物の脇に止められていた重機が数台動き出した。関係者が作業を見守っている。聞くと、ガレキを火災専門の廃棄場所に移すための作業だという。壁にぶら下がっている壁材も今にも落ちそうで、危険性の高いものから重機で引き剥がしていく。難航した消火作業の中で重機と作業員たちが果たした役割は大きかった。復旧に向け、まだまだその力に頼らなければならない。

▲焼けただれたトラックバース

それにしても暑い。曇天とは言え、先週以来の暑い空気が身にのしかかるようだ。SBSフレック関係者によると、同社阿見営業所は出火後から少し離れた旧事務所に機能を移し、本社や消防、警察などとのやり取りを続けたが、冷房のない中での業務だったという。消火にあたった消防隊員や重機作業員、周囲の安全確保に従事した警察官のほか、会社関係者も猛暑の中、それぞれの5日間の苦闘を潜り抜けてきたのだ。

警察・消防は近く合同で実況見分・原因調査に入る模様。原因究明や補償問題、そして物流の完全復旧まで、この先の道のりは長い。今後の関係者の安全と、サプライチェーンの早期正常化、そして地域社会での物流施設の信頼回復を祈るばかりだ。(編集長・赤澤裕介)