ECアマゾンジャパンのロジスティクス部門のアヴァニシュ・ナライン・シング事業本部長は26日、LOGISTICS TODAYなどのインタビューに応じた。地域の配送拠点「デリバリーステーション」(DS)の18か所新設による独自の物流網構築への強い意欲を示すとともに、大手宅配事業者など協力企業との関係も引き続く重視していく考えを強調した。新型コロナウイルス感染症や節電対策にも各物流現場で力を入れていく方針も示した。
シング本部長との主なやり取りは次の通り。(聞き手・東直人)
「アマゾンが配送拠点18か所新設へ、置き配は全国で」の記事を読む
――18か所新設で国内のDSは45か所になる。狙いは。
「迅速性と利便性の向上だ。各地域でのアマゾンのサービスのスピードが増す。翌日配送できる商品が増え、700万点以上になる。置き配できるエリアも増え、便利さも増す」「(副次的な効果として)ドライバーにとっても再配達が減り、トラックからのCO2排出も減る」
――独自の物流網を強化すると協力企業との関係はどうなる。業務委託を縮小するのか。
「ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便を始めとする物流企業は重要なパートナーだ。これからも協力関係を大切にする」
――埼玉県でアマゾンの協力企業が配達業務の委託先の個人事業主との関係で労働基準監督署から労働基準法違反の可能性があるとして是正勧告を受けた。神奈川県でも個人事業主が労働組合を結成して業務の改善を求めている。どう受け止め、協力企業などとどう対応しているのか。
「(アマゾンの商品配達では)さまざまな物流事業者(協力企業)が個人事業主と関係を構築しており、そこはそれぞれがコンプライアンス遵守を独自に行う部分だ。私たちが関知する事ではない。独立した企業体にアマゾンが何かを申し上げることはない」「それとは別にアマゾンにはアマゾンフレックスという(個人事業主と直接契約する)制度があり、そこでは個人事業主たちが自ら自由に時間を設定して働けるようにしている」
――新型コロナウイルス感染症が7月に入って再拡大している。物流現場での対策は。
「配送員やそれに関わるさまざまな従業員の安全確保は最重要課題だ。顧客の安全にもつながる。もう2年半になるが、政府のガイドラインに沿い、さらにそれを超える感染症対策を各現場で実行している。私の知る限り、コロナによる国内でのオペレーションへの影響は出ていない」
――6月に首都圏などで電力需給がひっ迫し、政府が節電への協力を企業などに要請した。今後もあり得るが、どう協力していくのか。
「政府から再び要請があれば応じるし、それ以上のことをする考えだ。フルフィルメントセンター(FC)でのソーラー発電の使用量を増やしたり、オフィスの照明を減らす、照度を落とすなどの対応をする。一部はすでに行なっている。エネルギーの節約は気候変動対策、サステナビリティへの取り組みとして重要で、FCやDS、ラストワンマイル物流の場面で、夏だけでなく長期的な視野で活動を続けている」