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大和ハウス工業が推進する物流施設の北陸プロジェクト「第2弾」

物流施設の地方戦略モデル構築へ、DPL富山高岡

2022年8月16日 (火)

(イメージ)

話題富山県西部に広がる砺波平野。のどかな農村地帯の真ん中に、巨大な建造物がそびえる。「小矢部砺波ジャンクション(JCT)」。北陸自動車道と東海北陸自動車道、能越自動車道が交わる道路交通の要衝だ。北陸地方における重要な結節機能を担うこの地に物流拠点としての潜在力を見い出したのが、大和ハウス工業だ。

北陸で初となる物流施設「DPL富山射水」(同県射水市)を2021年6月に完工。小矢部砺波JCTから北陸自動車道で10分余り東進した「小杉インターチェンジ(IC)」から1キロに位置し、同県内をはじめ北陸から東海、信越まで幅広くカバーできるマルチテナント型物流施設して注目された。稼働から半年で満床となった実績も、それを裏付けている。

それから9か月後のことし3月。大和ハウス工業はDPL富山射水に続くマルチテナント型物流施設プロジェクトを発表した。23年2月に完成予定の「DPL富山高岡」(同県高岡市)は、さらに小矢部砺波JCT寄りの北陸自動車道「高岡砺波スマートIC」の直近で建築工事が進んでいる。

北陸を舞台に相次いで物流施設を展開する大和ハウス工業。その狙いはどこにあるのか。DPL富山高岡の開発プロジェクトに携わる富山支店富山建築営業所営業課の松井主税主任に話を聞いた。

DPL富山高岡が勝機を見い出す「2つの要因」

▲大和ハウス工業富山支店富山建築営業所営業課の松井主税主任

DPL富山高岡は、高岡市が分譲する産業団地「ICパーク高岡」の一角にある。「分譲も順調に進んでおり、団地内における工場で生産する商品の保管場所としての利用も見込んでいます」。松井氏は、DPL富山射水に続く物流施設開発物件に適した土地を探索。スマートICに近いICパーク高岡に物流施設に適した3万平方メートル弱の開発用地を見つけることができた。

確かに荷主企業の入居を見込める好立地だ。とはいえ、大消費地や主要輸出入拠点からは遠く離れた北陸で、立て続けに物流施設を開発する意義は何か。松井氏は、2つの要因を指摘する。

まずは、北陸にまとまった規模の賃貸型物流施設が存在しなかったことだ。「DPL富山射水は、北陸でも賃貸型物流施設の需要が存在することを証明しました。既に満床であることから、第2弾の施設を稼働しても十分、地場の荷主企業に訴求できると考えたのです」(松井氏)

DPL富山高岡完成イメージ

さらに、当地ならではの倉庫事情も勝機を見い出す動機になったという。「既存の倉庫物件が少ない土地柄です。老朽化している昔ながらの倉庫が少数存在するものの、北陸での先進型施設はDPL富山射水が初めてだったのです」(松井氏)。現時点で、DPL富山高岡は賃貸部分の3分の1で成約が完了するなど順調な出足となっており、大和ハウス工業の目論見は的中しているようだ。

工場内倉庫の「外部委託」提案で新規ニーズ開拓

大和ハウス工業はDPL富山高岡への入居企業として、幅広い業種の産業を想定している。富山県には医薬品、自動車関連部品、精密機器、建材等の工場が多く立地している。例えば、医薬品といえば富山の地場産業の代表格。医薬品そのものの開発・製造だけでなくラベリングや包装といった関連ビジネスも多く存在するなど、裾野の広い産業だ。

とはいえ、大和ハウス工業はこうした医薬品関連だけをDPL富山高岡のターゲットとしているわけでは決してない。新規顧客の獲得に向けた取り組みを着々と進めているのだ。その一例が、工場内に倉庫を併設している企業への訴求だ。医薬品や建材など、古くから当地を地盤に事業展開する企業は、工場内に倉庫を置いている場合が多い。こうした事業者が抱える課題は、老朽化した倉庫の再建だ。そこに着目したのが大和ハウス工業だ。

「老朽倉庫を抱える事業者は建て替えるか外部倉庫を賃借するか、選択することになります。事業者は建て替えるならばコストセンターである倉庫よりも、収益を生み出す工場の増設に踏み切りたいのが本音。こうした悩みの解決を図る方策の一つとして、DPL富山高岡を提案しているのです」(松井氏)

「物流施設ビジネスは大都市圏でないと成功しない」。そんな命題がまことしやかに通用していたのも、今は昔。地方にも産業は根付いており、それゆえに物流も明らかに存在する。松井氏は、地域の声に耳を傾けながら新たな物流適地の探索を続けている。こうした取り組みは、地方における社会活動を支える物流の担い手としての「使命」そのものだ。

DPL富山高岡紹介ページ(大和ハウス工業ウェブサイト)

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