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DX急拡大に警鐘も、エフエイ・コム破綻

2022年8月8日 (月)

短報記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「オフィスエフエイ・コムが民事再生法適用申請」(8月2日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

M&A物流自動化機器の開発などを手掛けるオフィスエフエイ・コム(栃木県小山市)が民事再生法の適用を申請して経営破綻した事案は、急速に拡大する物流DX(デジタルトランスフォーメーション)分野に、一つの警鐘を鳴らしたと言えそうだ。政府も業界団体もDX化の旗を振り、事業者に取り組みを促すが、しっかりした財務基盤もないまま、急速に事業展開を行うことはやはり危険であることが示された格好だ。物流各社には少し立ち止まり、足元を見つめ直す勇気も求められそうだ。

同社は1999年創立で、従業員は現在、約350人、グループ全体では約700人を抱える。「企業が抱く夢を実現する」というスローガンを掲げ、制御の分野で世界一を目指していた。自動車などのメーカーのほか物流企業などを対象に、自動化設備に関わる機械装置の設計製作やソフトウエア開発などを行った。300人以上のエンジニアを抱え、機械と電気、ソフトウエアの技術群を社内で統合し、国内のほか中国やタイ、ベトナムの3000以上の工場や物流施設で自動化を手掛けてきた。2020年12月期には売上高76億9000万円を計上していた。

(イメージ)

帝国データバンクの調べによると、同社は7月29日に東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日付で保全命令を受けた。負債額は申請時点で60億円。投資意欲が加速度的に高まったが、世界的な半導体不足の影響もあって部品供給が滞り、思うような納品ができなくなった。資金繰りが急速に悪化し、自力改善は不可能と判断した。

近年、ロボットとIoT(モノのインターネット)技術を集結し、体験できるショールーム「スマートファクトリーラボ」を複数か所に開設し、自社の最新鋭技術を国内外に発信していた。こうしたスピード感ある展開に期待する声もあったが、財務的な体力が追いつかず、半導体不足という外的要因も重なり、経営破綻に至った。