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ギーク、新型AGV「PopPick」発表/国際物流展

2022年9月14日 (水)

話題AGV(無人搬送車)の販売を手掛けるギークプラス(東京都渋谷区)は14日、日本の倉庫環境に合わせた新型AGV「PopPick」(ポップピック)を発売したと発表した。東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の国際物流総合展で披露したところ、一目見ようという大勢の倉庫関係者らが同社ブースに詰めかけた。


▲ギークプラスの新型AGV「ポップピック」

新型機は「PopPick Station」(ポップピック・ステーション、1340×1260×3580ミリ)と呼ばれる自動仕分けシステムと、大量のコンテナを縦横に詰め込んだラック、そのラックを最下部で持ち上げ水平方向に移動させる動力装置(P800RとP1200Rの2種)から構成される。同社のピッキングロボット「EVE(イブ)シリーズ」に属する。

ピッキングの作業者が棚(ラック)まで商品を取りに行くのではなく、棚の方が作業者のいる作業場までやってくるところは従来機と同じだ。従来機と違うのは、作業場にポップピック・ステーションを置き、それがラックから商品の入ったコンテナを水平方向に取り出し、作業者の手元まで降ろしてくれる機能だ。1時間に650箱を出し入れできる。最新のナビゲーション機能で、ラック内のコンテナを自動的に入れ替え、ヒット率を向上させることもできる。ラックをステーションから離す時も、ヒット率の高いラックをステーション付近に戻すことで、ラックの到着時間を短縮し、ピッキング効率をさらに高められる。夜間など稼働時間外に今後のオーダーを予測し、出荷対象のコンテナを一つのラックに集約しておく機能もある。

新型機が日本の倉庫環境に合っている点は、そのサイズだ。ラックの高さを4メートルという日本の防火シャッターの間口ぎりぎりまで高くした。従来機はそこまで高くなかったので、保管能力が高まる上、防火シャッターを潜れることで複数の防火区画を越えて移動ができ、倉庫内を広く使える。

大中小のサイズに関わらず、コンテナ、棚、パレットの完全互換を実現。長尺物にも対応している。2つのラックの同時出し入れもできる。ラックからコンテナを取り出すために、金属アームに替えて吸着盤を採用した。コンテナ間の間隔がわずか20ミリに抑えられ、保管能力が一層高まった。こうした特徴から、同社は従来機に比べ、1ステーションあたりの作業生産性が2倍、人員削減効果も2倍になると試算している。

▲セミナーで新旧AGVの違いを説明するギークプラスの加藤CEO

同社はAGVを世界の倉庫に2万台、国内で2000台導入させた世界大手。加藤大和CEO(最高経営責任者)は総合展のセミナーにも登壇した。「ポップピックは自動倉庫よりも減価償却期間が短く、投資回収も4-5年以内でできる。将来の事業環境が読みにくい今の物流業界に適した設備投資となる」と述べ、倉庫会社などに新型機の導入検討を呼び掛けた。

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