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GROUND、自律型協働ロボ「PEER」新機種開発進む

2022年10月25日 (火)

▲PEER新機種のイメージ。最大荷重を2倍以上に高めたのが最大の特徴。EC倉庫で取り扱うより幅広い商品に対応する狙いだ(出所:GROUND)

サービス・商品GROUND(グラウンド、東京都江東区)は25日、自律型協調ロボット「PEER」(ピア)の新モデルの開発を進めていることを正式に明らかにした。EC(電子商取引)商品を取り扱う倉庫への訴求をさらに強めるために、現行の機種と比べて最大荷重を大幅に高めた新モデルを考案。GROUNDは今後、多様化するEC需要に対応した倉庫業務の支援策として、より幅広いラインアップでPEERの提供を加速していく考えだ。

GROUNDは2020年、中国大手メーカーと共同開発したAMR(自律走行搬送ロボット)をPEERと命名。物流施設内でロボットと人間が協働してピッキング作業を行うことで省人化を図る機能が強みで、扱いやすく従業員に「やさしい」機器であることが特徴だ。

現在は2機種を市場に展開。PEERの基本モデルは、国内初となる自律型協働ロボットの実用事例として導入実績がある。さらに「PEER SpeeMa+(スピーマプラス)」は、こちらも国内で初めて自動認識技術であるRFID(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)に対応した自律型協働ロボットとして、着実に納入先を広げている。

とはいえ、従来機種はいずれもピッキング対象が小型で軽量な商品に限られ、さらに大きな荷重に対応した機種を求める機運も高まっていた。GROUNDは、ECを中心とした物流倉庫への訴求力をさらに高めるには、最大荷重を高めた新発想の機種を開発する必要があると判断した。

新機種の最大の特徴は、最大荷重を現行の42.5キロから100キロ水準まで2倍以上に高めたこと。大型の商品でも対応できるよう機材の基本設計を刷新。機材自体の寸法やデザインを見直したほか、支柱の安定性などを調整することにより、重量物の搬送における駆動性や安定性を確保した。

GROUNDはこの日、PEERの基本モデルを導入した、アパレル特化型EC支援事業を展開するダイアモンドヘッド(札幌市中央区)の「北砂流通センター」(東京都江東区)での稼働現場を公開した。

ダイアモンドヘッドは19年7月にPEER30台を導入し、現在は、「柏物流センター」(千葉県柏市)に12台、北砂流通センター18台を配備。21年4月に導入した北砂流通センターでは、900坪(2970平方メートル)の倉庫フロアでアパレル製品のピッキングにPEERを活用している。

専用のソフトウエアでピッキング商品の具体的な指示を受けたPEERは、それに従って自動で走行しながら棚から棚へと移動。それぞれの棚の近くで待ち構えている従業員が、搭載された端末画面に記載された種類や数に合わせてPEERの運ぶコンテナに投入することで、ピッキング業務を効率化している。感染症対策の観点から従業員のソーシャルディスタンスの確保にも貢献しているという。

PEER新機種が提示するであろう、物流DXの「新たな本質」

GROUNDがPEERのラインアップを充実させるのは、物流ロボットの提供で市場を先導するポジションの確立を図ることで、成長市場である物流領域における「全体最適」を意識した現場最適化システムをさらに浸透させる狙いがあるからだ。

(クリックで拡大)

自社開発の物流施設統合管理・最適化システム「GWES」(ジーダブルイーエス、GROUND Warehouse Execution System)を、2021年8月に市場展開をスタート。今後国内で需要が高まることが予想されるWES(Warehouse Execution System、倉庫実行システム)として、ミドルウエアとなる共通データ基盤をはじめ、AI(人工知能)を適用した各種機能モジュール群で構成する汎用性・拡張性の高いパッケージシステムとして、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に躍起になっていた物流業界で大きな話題となった。

とりわけ、既存のソフトウエアとの連携性の高さは、システムを提供する各社が独自の機能を競い合っていたなかにあっては、極めて目新しい存在だったのは言うまでもない。

GROUNDはこうしたシステム開発とのいわば「両輪」として、先進ロボットの提供にも注力。その象徴がPEERだ。GROUNDはPEER新機種の開発を契機として、物流DXの新たな本質を提示することになるだろう。(編集部・清水直樹)

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