財務・人事商船三井が10月31日発表した2023年3月期の第2四半期連結決算は、売上高が前年同期比37.6%増の8213億3700万円、営業利益が2.8倍の560億8700万円、最終利益が2.2倍の6015億2300万円だった。コンテナ船の旺盛な貨物需要と賃率が上期後半まで続くなど、主要3事業が堅調に推移。為替差益も寄与して大幅な増収増益となり、四半期、上半期でいずれも過去最高益を記録した。

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好調な業績と円安影響を踏まえ、23年3月期の通期業績予想を第1四半期決算発表時から上方修正することも発表。売上高は8.8%増の1兆6000億円、営業利益は22.9%増の860億円、経常利益は12.7%増の8000億円、12.9%増の最終利益が7900億円をいずれも見込む。達成すれば、過去最高益の更新となる。期末配当予想も200円から250円に引き上げ、年間配当は1株当たり550円となる予定。
中間決算をみると、製品輸送事業は持分法適用会社であるオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)が8月半ば以降、輸送需要の減退を受けてスポット賃率は下落したものの、高値で成約した長期契約運賃に支えられるなど、期中平均では前年実績を大幅に上回る水準を維持し収益増をけん引した。自動車船も前年並みに輸送台数を確保し、完成車の生産、出荷状況に応じた柔軟な配船調整の継続や中古車の輸送需要も取り込んだ。
ドライバルク事業は各国の新型コロナウイルスの検疫、撤廃で船腹稼働率が上昇し、需給が緩んだことで市況が軟調に推移する中、木材チップ船、オープンハッチ船、ツインデッカー船で堅調な荷動きに対応。エネルギー事業も原油や石油製品の好市況を反映し、長期契約の履行などで利益を確保した。
同日開いた決算発表のオンライン記者会見で、商船三井の役員は、スポット運賃の下落が下半期の業績に影響を与える可能性を示唆。これまでに比べて荷量が減少基調になり、一部ではコロナ前の水準になる見通しも示した。
自動車船事業に関しては、橋本剛社長が日系自動車メーカーの輸出について「半導体生産の影響もあって伸び悩んでいる」と指摘。一方で、インドなど海外拠点から輸出がタイやインド、メキシコで増えており、輸送比率が日本が40%、海外が60%とコロナ期間中に逆転した現況について説明し「海外拠点からの台数が上回る状況は、今後も続いていく」との見方を示し、こうした顧客ニーズに応えられる船体規模の増強に取り組むとした。
また、商船三井は10月31日、連結子会社のINTERNATIONAL TRANSPORTATION(ITI社)の株式を譲渡することも発表した。株式譲渡の理由について、ITI社の100%子会社で米カリフォルニアでコンテナターミナル事業を手掛けるTraPac, LLCについて言及。商船三井は、2018年にコンテナ船事業を持分法適用会社であるオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)に移管して以降、コンテナターミナル事業のポートフォリオ戦略の見直しを進めているため、としている。
発表によると、譲渡先は2社で、このうち1社は主にインフラ投資を手掛ける大手投資ファンド。社名は明らかにしていない。譲渡金額は1364億円(9億5000万米ドル)を予定する。別の1社は「同社の機関決定が未了のため」として譲渡金額を含めて、詳細は非開示とした。
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