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名古屋港の取扱貨物を意識したマルチテナント型物流施設として2棟完成

大和ハウス、港湾貨物需要つかむ「DPL名港弥富」

2022年11月14日 (月)

▲伊勢湾岸自動車道の湾岸弥富ICに近い好立地が強みの「DPL名港弥富I」。名古屋港を意識した貨物需要への期待が強い

話題木曽川デルタ地帯の干拓地に広がる愛知県西部の弥富市。名古屋市のベッドタウンとして発展を続ける一方で、稲作や金魚の養殖も盛んであるなど、多様な産業が根付く。近年は名古屋港にもアクセスしやすい、伊勢湾岸自動車道のインターチェンジ(IC)周辺をはじめとする湾岸部での物流施設の開発も顕著となっており、中京圏では愛知県の小牧市や一宮市など内陸部に続く「物流適地」として注目を集めるようになった。

こうした弥富市の湾岸エリアで大規模なマルチテナント型物流施設の開発にいち早く着目したのが、大和ハウス工業だ。首都圏や関西圏を中心に物流施設の開発を急ピッチで推進し、「中京圏でもいよいよ本格的な展開に乗り出した」と業界内で注目を集めるきっかけとなった、「DPL名港弥富I」「DPL名港弥富II」(ともに弥富市)のプロジェクト。自動車関連産業をはじめとする中京圏の裾野の広い物流需要を期待した名古屋港への高いアクセス性に加えて、高速道路網の整備に伴う新たな「交通の要衝」としての地位を得た弥富市湾岸エリアの強みが、この案件の実現に向けた大きな原動力となった。

名古屋港へのアクセス性と、「伊勢湾岸道IC至近」という優位性

DPL名港弥富I・IIは、中京圏で最大の貿易港である名古屋港への西側からの良好なアクセスが最大の優位性だ。さらには、伊勢湾岸自動車道「湾岸弥富IC」からわずか700メートルの至近にある立地条件も見逃せないポイントだ。

▲「様々な部品や最終製品の工場や倉庫が集積する名古屋港エリアも意識して用地選定を進めた」と話す、大和ハウス工業名古屋支社建築事業部第一営業部営業第三課・中村友昭主任

「自動車関連産業を中心とした様々な部品や最終製品の工場や倉庫が多く集積する名古屋港エリアも意識しながら、用地選定を進めてきました」(名古屋支社建築事業部第一営業部営業第三課・中村友昭主任)

自動車関連産業を中心とした独自の経済圏を擁する中京圏の経済において、名古屋港は中部国際空港とともに貿易機能を担う。特に産業貨物における原材料の調達や製品の輸出は名古屋港に大きく依存しており、整備が進む高速道路や主要一般道路のネットワークを背景としたサプライチェーンが確立している。

大和ハウス工業は、こうした観点から名古屋港へのアクセスを重視した物流拠点の開発に向けた取り組みを加速。愛知県所有地の入札案件を経て名古屋港を意識した物流施設の開発用地を獲得し、2020年11月にDPL名港弥富Iを、21年3月にはDPL名港弥富IIの開発に着手。ともにことし5月末に完成した。

名古屋港ならではの重量貨物に対応した「懐の深い」仕様

名古屋港を意識したDPL名港弥富プロジェクト。構造面でも、こうした取り組みを意識した配慮がなされている。

最も特徴的なのが、重さ3トンまで対応できるフォークリフトだ。DPL名港弥富Iは全区画、DPL名港弥富IIは1階部分に対応。名古屋港では製品を中心とした重量物の取り扱いが多く、荷主企業からもこうした「重さ」への対応力の高い物流施設が求められていた。

▲互いに隣接する「DPL名港弥富I」(奥)と「DPL名港弥富II」。写真右奥に見えるのは名古屋競馬場で、その右側には伊勢湾岸自動車道「湾岸弥富インターチェンジ」がある

「DPL名港弥富Iでは、一般仕様と比べて2倍の最大荷重3トンのフォークリフトの利用が可能です。名古屋港で貨物の輸出入に携わる荷主企業のニーズを意識した対応です」(中村氏)

さらに、DPL名港弥富Iでは高床倉庫構造を採用し、コンテナ貨物の対応力を高めている。対照的にDPL名港弥富IIの倉庫部分はウイング車による荷役に対応した低床構造で整備。「名古屋港を利用する荷主企業のなかでも、より多様なニーズに対応できるよう2棟で構造に違いを設けています」(中村氏)。隣接しているにもかかわらず、あえて2棟を整備した大和ハウス工業の思惑。それは求めるサービスの違いにも柔軟に対応できる物流施設でありたいと考える「懐の深さ」にあるのだ。

名古屋港への対応に続く「第2の使命」

DPL名港弥富プロジェクトは、大和ハウス工業が中京圏で手がける案件としては、延床面積ベースで最大となる。中京圏における物流ビジネスの中核施設としての期待の現れとも言えそうだが、そのポテンシャルを高める要素となるのが、伊勢湾岸自動車道がもたらす「首都圏・関西圏の中継機能」だ。

愛知県豊田市と三重県四日市市を結ぶ伊勢湾岸自動車道は、両端で新東名・新名神高速道路と接続。東西の国土軸を結ぶ高規格高速道路として整備が進んでいる。

▲「DPL名港弥富I」「DPL名港弥富II」周辺の地図。インターチェンジに至近であることが分かる(クリックで拡大)

三大都市圏を結ぶトラック輸送のメインストリートとなるこのルートでは、その中間地点に中継拠点を設ける動きが荷主企業を中心に高まると予想されている。働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働の管理が厳格になることで起きうる「物流の2024年問題」への対応も視野に、長距離トラックドライバーの就労環境の改善を図るための機能だ。

「DPL名港弥富I・IIの高速道路のICから近いという優位性が、ここで大きな意味を持つようになると考えています」(中村氏)。DPL名港弥富プロジェクトは、名古屋港という中京圏における貿易拠点への対応に加えて、新たな使命を果たす物流拠点として注目を集め続ける存在になりそうだ。

「DPL名港弥富I」の概要はこちら

大和ハウス工業は、DPL名港弥富I(愛知県弥富市駒野町1-1)の現地内覧会を12月2日(金)に開催する。第1部(11時から正午まで)▽第2部(13時30分から14時30分まで)--の2部構成。当日は事務所内で施設概要にかかる説明を受けた後に館内を見学する。

参加には事前予約が必要。希望者は所定の「現地内覧会申込書」をメールかファクスで送付する。