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トヨタ方式を活用、イオンとCJPTが挑む物流改革

2022年11月8日 (火)

記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「九州でイオンGが物流改革、商用車合弁も協力」(9月30日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

産業・一般トヨタとイオンが物流で連携――。トヨタ自動車を中心にトラックメーカー各社が出資する運送技術企業CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ、東京都文京区)と、流通大手のイオングループが、九州での物流改革プロジェクトに着手した。「自動車製造」「流通」という物流に隣接する2業界を起点とする試みであり、大きな関心を集めている。LOGISTICS TODAYは、参画企業を代表してCJPTに狙いなどを取材した。非公開の部分はあるが、改革への可能性を十分に感じさせた。(編集部・東直人)

(イメージ)

このプロジェクトは、イオングループの九州地区統括会社イオン九州(福岡市博多区)と物流機能会社「イオングローバルSCM」(千葉市美浜区)、CJPTの3社による協業だ。CJPTは2021年4月に設立され、現在はトヨタといすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業の4社が出資する。「電動化」と「物流効率化」を中心に、トラックユーザーである輸送業が抱える諸課題の解決を目指し、技術開発などに取り組んでいる。(出資企業には当初、日野自動車も入っていたが、エンジン認証不正問題で22年8月に除名されている)

ジャスト・イン・タイム+コネクテッド+流通ノウハウ

3社が9月に発表した取り組み内容は3つ。(1)サプライチェーン各プロセスの連携により効率化を実現する新たなオペレーション構築(2)コネクティッド基盤がもつビッグデータ・リアルタイム処理を活用した物流ダウンタイム最小化による効率化(3)これらの取り組みを実現するための、幅広いパートナーとの連携推進。

これらは概括的な方向性を示すものだが、CJPTは本誌の取材に対し、いくつかのポイントを解説した。それによると、CJPTが持つ「(ジャスト・イン・タイムなどの)トヨタ生産方式」と「コネクティッド技術」に、イオングローバルSCMが積み上げてきた物流の知見やノウハウ、技術を組み合わせる。仕入れから配送までのサプライチェーン全体を効率化する。九州で成功すれば、他のエリアへの「横展開」も検討する。

上流から下流まで

CJPTとの主なやり取りは次の通り。

──本プロジェクトが目指す物流改革とはどのようなものか。
CJPT メーカーや卸を巻き込んでサプライチェーンの上流から下流までの情報をつなぎ、物流の全体最適化を図る。トヨタ生産方式のノウハウを生かし、現場のリードタイムを短縮し、作業を効率化する。コネクティッド技術による高効率輸送オペレーション支援システムも導入する。物流費の高騰や人手不足、カーボンニュートラルといった、あらゆる企業や業界が抱える共通課題の解決を図る。

──参画する各社の役割は
CJPT CJPTはトヨタ生産方式とコネクティッド技術による輸配送車両の最適化といった知見・ノウハウ・技術を提供する。イオングローバルSCMは、毎日、全国に衣食住あらゆる商品を配送する小売業の大規模な物流ネットワークの知見やノウハウ・技術を提供する。それは平時のみならず災害時でも物流を支えるものだ。

──コネクティッド技術や、それに基づくオペレーション支援システムとは。
CJPT 高効率輸送オペレーション支援システムは、CJPTのコネクティッド技術とイオンの流通ノウハウを融合したもので、各トラックメーカーが持つビッグデータとリアルタイム処理能力が活かされている。最適な混載配送によりトラックの積載率を向上し、効率的な輸送ルート指示による総走行距離の短縮やトラック便数削減を可能にする。変化や変動に強い長所がある。

他地域への展開も

──プロジェクトに至った経緯は。
CJPT 協業のスタートは2021年のイオングローバルSCMとトヨタとの合意に遡る。ともにサプライチェーンの課題を解決したいという思いがあり、とくに人手不足やカーボンニュートラルの解決を目指すことで一致した。それ以降、本年10月までイオングループの大阪府の物流拠点で、CJPTとイオングローバルSCMが物流効率化の取り組みを進めてきた。

(イメージ)

──九州プロジェクトは大阪での協業の延長線上にあるのか
CJPT 大阪ではイオンの物流センターから店舗までの2次輸送が対象だった。九州ではそれに加え、メーカー・卸といった仕入先から物流センターまでの1次輸送、そして店舗やお客様への配送まで、サプライチェーン全体の輸配送や物流センターのオペレーション効率化に取り組む。

──プロジェクト実現へのスケジュールは。
CJPT 詳細は控えたい。

──九州エリアを選んだ理由は。他のエリアへの「横展開」はあるか。
CJPT イオングループは以前から、九州エリアで物流改善を試んできた。他のエリアについて、現時点で決まっているところはないが、九州での効果を確認のうえ、他拠点への展開を検討していく予定だ。

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