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荷待ち短縮・電動車促進、2次補正の国交省予算詳報

2022年11月18日 (金)

記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「政府の2次補正、軽油価格抑制やEV促進を継続」(11月9日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

行政・団体政府の総合経済対策の裏付けとなる2022年度第2次補正予算案は、21日に国会審議が始まる。国土交通省は予算案の早期成立を期し、労働力不足や脱炭素化といった物流業界が直面する課題への政策を前進させたい考えだ。11月8日の予算案決定時は短い概要説明だけだったが、同省に取材し、ここではトラック運送関係の「荷待ち時間削減」と「事業用電動車の集中的導入支援」の2項目を詳報する。

中小トラック運送業での働き方改革を推進するため、荷待ち時間の削減に資するテールゲートリフターの導入費などとして、3億5000万円を計上している(自動車整備業関連の実証調査費などを含む)。これまでの補正予算にも盛り込まれた施策で、トラック運送現場の人手不足や高齢化への対応を強化するため、予算額を従来より上積みしている。

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テールゲートリフターはトラック車両後部に装着する昇降機。導入費の補助率(見込み)は通常機器価格の6分の1。かご台車による荷役が可能となり、手荷役による重労働の軽減が図れる。荷役時間は3分の1程度に短縮。国交省は、同装置の普及を女性など多様な人材の確保にもつなげたい考えだ。

物流施設でのトラックの予約受付システムの導入費用には2分の1を補助する方向。事前予約によって荷待ち時間が大幅に短縮可能で、積載業務を効率化する。

トラック搭載型クレーンや、2段積みデッキ(フォールド・デッキ)の導入費も6分の1を補助する方向。クレーンは建築資材などの重量物や高低差のある現場など、手荷役による作業が困難な場所で効果的。手荷役に比べて荷役時間を3分の1程度に短縮できる。2段積みデッキは2倍の積載量が実現されることで、生産性やエネルギー効率の向上につながる。

これらの補助金は予算成立後、全国トラック協会が執行団体となって受付事務を担う方向だ。

事業用自動車への電動車の集中的導入支援の費用として、21億2000万円を計上している。トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車での燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)の普及を促進するため、普及段階と車両価格に応じた購入補助を実施する。21年度の補正予算で初めて実施した補助金だが、国交省は今回の2次補正では予算額を21年度補正(10億4200万円)から倍増させて普及を加速することにした。

(イメージ)

トラックの補助率(見込み)は、FCVが車両価格の3分の2。まだ市場導入の初期段階で、価格が高く積極的な支援が必要な車種と位置付けている。EVは車両価格の4分の1。車種ラインアップが充実し、通常車両との価格差が低減している車種に分類した。最も普及が進んでいるHVは、車両価格ではなく「通常車両との差額」の3分の1を補助する。通常車両との価格差が縮まり、本格普及の初期段階にある車種に区分している。また、EV用急速充電器の導入費は車両とセットの場合は2分の1、充電装置のみの導入の場合は4分の1を補助する見込みだ。予算が成立すれば、補助金は各地の運輸局などで受け付ける。

国交省は国際公約である2050年カーボンニュートラルに向け、事業用自動車への電動車の集中導入を加速する。メーカーによる開発を促進し、運送業者の導入を後押しする。併せて充電設備の設置を進めることで導入環境を整え、事業用電動車市場の創出につなげたい考えだ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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