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日野が新執行体制、改革推進役のCTrOを設置

2022年12月27日 (火)

荷主日野自動車は27日、一連のエンジン認証不正問題で信用失墜した会社を立て直すため、2023年2月1日付の新たな執行体制を決定したと発表した。組織体制を従来のピラミッド型組織から、事業軸と機能軸が交差するマトリクス組織体制に再編成する。各機能に「チーフオフィサー」(CxO、責任者)を置いて意思決定の迅速化と権限委譲を進める。改革推進役のCTrO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)も置く。不正を生んだ企業風土から脱却し、反転攻勢につなげられるか、小木曽聡社長らの覚悟と実行力が問われる。

日野は8月2日の記者会見で認証不正問題の調査結果を公表した際、健全なガバナンス体制の推進に向けた新執行体制を3か月をめどに取りまとめるとしていた。

マトリクス組織

新執行体制について日野は、これまでの「行き過ぎた上意下達」「セクショナリズム」「スピード感の不足」といった組織風土から脱却するため、(1)人財育成(2)顧客や社会への貢献意欲(3)素早い意思決定、自律的判断――を組織構築の必須要素に挙げた。それを実現するのが事業軸と機能軸のマトリクス体制だという。「デジタル」「開発」「生産技術」「調達」「トータルサポート」といった機能の縦軸に、「日本事業」「海外事業」という事業軸で横串を指し、PO(プロダクトオーナー)を中心に川上から川下まで一貫して顧客に向き合う体制だと説明している。POは従来の製品開発中心の役割にとどまらず、商品企画から販売、トータルサポートまで全ての工程に関わる責任者とする。

本部・領域制を廃止、チーフに権限移譲

従来の本部・領域制は廃止し、組織の階層も削減する。その代わり、「品質」「デジタル」「ものづくり」といった機能ごとに「チーフオフィサー」を設置し、権限移譲を進める。業務上の無駄を排除し、素早く自律的に判断する組織を目指すという。

数人いるチーフオフィサーの中でも、重要なのがCTrOだ。改革プログラム全体の推進管理や、課題の調整、部署ごとの改革施策のフォローやサポートを行う。

日野は新執行体制の発表に併せて役員人事(2月1日付)を発表した。専務役員に仙波洋、山手昇、通阪久貴、山敷恵の4氏を再任し、現専務役員の松岡茂裕、渡部雅成の両氏は、1月31日付で任期満了により退任する。小木曽社長は、新設するCEO(最高経営責任者)を務め、CHRO(最高人事責任者)も兼務する。CTrOには横張博紀氏が就く。

■CxO、機能長体制
ユニット/機能役職氏名現担当
CEO(Executive)小木曽聡氏代表取締役社長
内部監査機能長吉田憲生氏DCCO
コンプライアンス・法務・知財CCO(Compliance)二村賢司氏CCO、法務・知的財産領域長、内部監査領域長
コンプライアンス・法務・知財DCCO(Compliance)吉田憲生氏DCCO
品質CQO(Quality)小野匡弘氏品質本部本部長
安全・環境機能長梅岡元司氏安全・環境領域長、工場改革領域長
CTrO(Transformation)横張博紀氏事業企画領域長付執行職
事業統括日本事業COO(Operating)佐藤直樹氏戦略・企画領域長
海外事業COO(Operating)加藤順一氏[出向]HMA(Hino Motors ASIA)
CPO(Product)豊島浩二氏先進技術本部長(副)
デジタルCDO(Digital)小佐野豪績氏CDO、デジタル領域長
開発CTO(Technical)脇村誠氏DCCO
生産技術機能長岡部一樹氏第2生産技術領域長
調達機能長杉生茂樹氏調達領域長
TSCTSO(Total Support)原田望氏TS統括、TS領域長
ものづくりCMO(Monozukuri)志賀得一氏総務・人財開発領域長、学園領域長
財務・経理CFO(Financial)中野靖氏原価企画領域長
戦略CSO(Strategy)野村達也氏戦略・企画領域長(副)
人事CHRO(Human Resources)小木曽聡氏代表取締役社長
総務・渉外・広報機能長橋本博氏渉外・広報領域長

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LOGISTICS TODAY編集部
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