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年頭所感、西濃・近鉄エクス・商船三井・JILS

2023年1月5日 (木)

ロジスティクス5日も西濃運輸や近鉄エクスプレスなど物流関連の企業や業界団体から年頭の挨拶や所感が相次いで発表された。要旨は次の通り。

西濃運輸・小寺康久社長「4社統合で幹線ダイヤ再編し運行効率を全体最適に」

昨今、情報通信技術の目覚ましい発展により、産業構造が大きく変わりつつあります。このような流れのなか、「金融サービス」「人材派遣」「保険サービス」など輸送の範ちゅうを超えたサービスを提供し、お客様との接点を増やしていきたいと考えています。

4月1日には、関東西濃運輸・濃飛西濃運輸・東海西濃運輸と統合します。4社が1つになることで幹線ダイヤを再編し、運行効率の全体最適化を進め、より良い輸送品質を提供できる体制を整えていきましょう。また電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築、社会実装に参画するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも行っていきます。

本年は、持っている可能性を大きく伸ばし発展していくために、スローガンを「伸展」としました。我々が行っていくのは、お客様の総合窓口となりノーストレスな価値を提供していくことです。卯年は、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するという伸展にふさわしい年。SEINO LIMITの精神で、開かれたプラットフォームによって他社ともつながり、共創を進めることで、持続可能な未来に向かって大きな一歩を進めましょう。

近鉄エクスプレス・鳥居伸年社長「変革に伴う痛み乗り越え組織機能を強化」

世の中が大きく一つの方向へ傾く時、それに備えるために組織として反対に大きく舵を切ると、その反動でかえって不安定な状態に陥る場合も有ります。当社グループは本質的に静安定性を備えており、大きなうねりの中で意図して大きな舵を切らずとも、皆さん各自の働きにより安定する性質を従来備えていると、私は思っています。

ただ、大きな変化に直面した時、または遭遇すると予知した場合、皆さんの働きによる静安定性を信じつつ、迅速、かつ適切に、能動的に舵を切るように指示させていただく事もあると思います。新たな局面を迎えると思われますが、決して悲観的になるのではなく、私自身も含めてグループ全体で改めて、緊張感を持って対峙していきたいと思いますので、適宜、対応いただきますようよろしくお願い致します。

昨年の近鉄グループホールディングスによるTOBにより、当社は近鉄グループホールディングスの100%子会社になりました。しかしながら、当社自身の方針に何ら変わりはありません。今後も当社が世界の市場で存続し、成長をしていくためには、まずは自力で、目標に掲げた取扱物量に向けて事業を拡大し、収支数値目標を達成していくことが必須条件です。

この物量拡大とともに不可欠となるのが、経営計画2027に掲げているとおり、グループ全体の体制の強化であり、前中期経営計画で取り組んできたミドルガバナンス体制を完成させ、APLLを含む各関係会社、各本部、そして各海外現地法人が「One KWE」として一体感を強め、かつグループとして機能していくことであると考えます。当社グループの持つ強みを生かしながらさらなる高みを目指すには、「One KWE」としてグループ全体の機能強化を図るため、組織のバックボーンとなる統一のプラットフォームの確立が必要であり、現状を改善するための大規模な「改革」が待った無しの状況で迫ってきていると感じます。

これは改革に留まらず、「変革」にまで及ぶ部分があり、時間と工数、そして一部では痛みを伴うかもしれませんが、当社グループ組織の機能強化の対応については着実に行っていきます。

商船三井・橋本剛社長「地域戦略から海外へ海洋、物流、非海運業も強化」

2023年の事業環境ですが、昨年末に中国がゼロコロナ政策の見直しを表明しましたので、約3年におよぶ新型コロナウィルスによる混乱は収束し、世界の経済・社会は徐々に正常化に向かうと思います。直近の2年間は、海運市況の高騰を背景に好業績となりましたが、昨年からの世界的なインフレの進行、高金利とそれに伴う景気悪化の影響により、来期の業績は、2021年、22年度に比べ減益となるだろうと予想しています。今年は、欧米各国のインフレ対策の効果が表れ、一時的に大きな景気の落ち込みがあるかも知れませんが、中国経済の正常化や米国の金利上昇ペースの鈍化など、そう遠くないタイミングで緩やかな景気拡大基調に復帰することを期待しています。私たちは、この2年間で蓄えた資本を、損益悪化に対する備えと将来の成長のための投資に、有効に活用していく1年にしたいと思います。

私は社長就任以来、「商船三井グループをあらゆる面で優良企業とイメージされる存在にしたい」と述べてきました。具体的にはサステナビリティー経営、提供するサービスの質、収益力、人財の質の高さ、高度な技術力などあらゆる面において、すべてのステークホルダーから信頼され、高い評価をいただける企業グループになるということです。これは、当社グループの全役職員が、誇りと責任感をもって働くことができることを意味します。

当社グループは、地域戦略に沿って海外での事業開発を積極的に進める方針であり、また従来の海運業にとどまらず、海洋事業、物流事業、不動産事業、クルーズ事業など、非海運業の強化を進めています。Rolling Plan 2022および来期からの新経営計画にしっかりと取り組み、グループの成長と企業価値向上を通じて、優良企業を目指していきましょう。優良企業であるためには、コンプライアンスの順守は当然の事ですが、事業の根幹である安全の確保、当社グループで働く全役職員の健康が最も重要です。この点は、改めて皆さんに強調したいと思います。

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)・大橋徹二会長「活動方針に24年問題、ESG経営、LX掲げる」

国際社会で相次いだ感染症や大国間の覇権争いなどの地政学的な問題は、グローバルサプライチェーンに混乱をもたらし、半導体不足、エネルギー、原材料や食料の高騰など、さまざまな分野に影響を及ぼしておりVUCAと呼ばれる先行き不透明な状況が続いております。このような世界情勢のなか、我々は国連が2030年をゴールと定めたSDGsに象徴される持続可能な社会を実現することを求められており、産業界においても企業価値を判断する指標として、これまでの財務的な指標とともに、非財務的な指標が重視されるようになってきました。

以上のような環境変化に加えて、これまでJILSが、「ロジスティクスコンセプト2030」や昨年設立30周年に掲げた「メタ・ロジスティクス」において、企業価値の向上と社会課題の解決を目標とするロジスティクスの重要性を、産業構造の変容と企業連携の見地から重ねて言及してきたことを踏まえて、23年度の活動方針として次の3つを掲げます。

1.2024年問題への対応と持続可能な社会の実現

喫緊の課題である「2024年問題」においては、トラックドライバーに代表される物流業界の持続性を考慮し、労働時間のみならず賃金も含めた労働環境の改善が、我々物流・ロジスティクスの関係者にとっての重要な課題となっています。また併せて2050年のカーボンニュートラルの実現やフードロスの削減など、SDGsの目標達成を意識した活動を我々が率先して展開することも重要です。

こうした状況のなかでJILSでは、「2024年問題」に対して、展示会、講演会をはじめ、あらゆる機会を通じて、その解決のための活動を行うとともに、関連団体や行政機関とも連携しながら、物流の重要性について、普及活動を行ってまいります。また同時に物流、ロジスティクス分野におけるSDGsの現状や課題、取り組み事例の収集や普及啓発を行うことで、SDGsに取り組む企業を増やしていきたいと考えています。

2.人的資本経営の実現と企業価値向上

ロジスティクスが「経営的課題を解決する非常に強力な手段」として認識され、経営戦略の一つとしての地位を確立するためには、財務面からその有効性を示すことが重要です。また同時に、ESG経営の広がりとともに企業の非財務情報の一つである人的資本が注目されるようになっており、企業は「人的資本の価値を高める戦略」と「人的資本の情報開示」を循環させることにより、経営目標を達成する「人的資本経営」の実践が求められております。

JILSでは、本年度ロジスティクスと経営指標の相関に関する調査を行い、現在その結果をもとに経営戦略としてのロジスティクスの重要性を分析しておりますので、結果がまとまり次第普及してまいります。また、各種講座やセミナーなどの人材育成事業で培った経験を生かし、産業界の「人的資本経営」への対応を支援してまいります。

3.LX(ロジスティクストランスフォーメーション)のための企業連携の拡充

政府のフィジカルインターネット実現会議においては、2040年をフィジカルインターネットが社会実装される目標年としております。このような新しい仕組みを活用しつつ、物流、ロジスティクスを産業競争力の源泉とし、「成長産業としての物流」を実現することが重要です。そのためには物流、ロジスティクス、サプライチェーンを可視化するとともに、データドリブンなロジスティクスの構築が必須であり、業務プロセスなどの標準化を含む広義の標準化が欠かせません。

JILSでは、連携・共創の場である「オープンイノベーションラボ」の活動をさらに拡充し、高い視座で課題を認識・共有し、共に考えることで解決の糸口を導き出す交流の輪を広げてまいります。また、サプライチェーン、ロジスティクス、物流の各領域における課題に対応するため、SCM ACADEMY of JAPAN(SCM-AJ)や物流現場改善推進のための取り組みに注力してまいります。

物流、ロジスティクス関係者が一堂に会する展示会「国際物流総合展2023 INNOVATION EXPO」を23年9月に、また、課題の解決策を提案し、議論を深める場「ロジスティクスソリューションフェア2024」を24年2月に、それぞれ東京ビッグサイトにて開催いたします。

本年も当協会は、我が国の産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省など、関係各省庁の施策と歩調を合わせるとともに、産・学との連携を強化し、全力を挙げて課題に取り組んでまいります。

24年問題対応やDX加速へ決意新た、年頭所感

年頭所感、鈴与・ムロオ・郵船ロジなど

年頭所感、三井倉庫・日本倉庫協会・JIVAなど

全ト協会長、年始めに運賃交渉など荷主対策へ決意