ロジスティクス全日本トラック協会は5日、坂本克己会長の2023年の年頭所感を発表した。その中で荷主対策に関して言及し、迫る「物流の2024年問題」や燃料価格高騰といった厳しい事業環境を踏まえ、業界の健全化と発展に向けて「荷主に対して果敢に運賃・料金交渉を継続していただきたい」と中小トラック運送事業者に対して訴えた。
年頭所感の要旨は次の通り。
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都道府県トラック協会のご尽力により、会員事業者ベースの「標準的な運賃」届け出率は7割を超え、徐々に浸透しつつあり、また「荷主対策の深度化」の方策についても、徐々にその実効が図られてきているところです。しかしながら、「標準的な運賃」や「荷主対策の深度化」については来年3月までの時限措置とされていることから、現場で働いておられるドライバーの労働条件改善を実現していくため、時限措置延長・恒久化への対応が強く求められてきます。
悪貨が良貨を駆逐することのないよう公平公正な競争の基盤を確立するとともに、問題のある荷主に対しては、改正貨物自動車運送事業法や独占禁止法などの諸々の法律により、適切な指導を行っていただき、真面目な事業者がより効率的に事業運営を行える社会にしていかねばなりません。会員事業者の皆様におかれましては「今がまさに、業界のさらなる健全化への勝負時」と捉えていただき、荷主に対して果敢に運賃・料金交渉を継続していただきたいと存じます。
一方で、多くのドライバーが脳・心臓疾患のリスクを抱えているなかにおいて、昨年12月には改善基準告示が改正され、来年4月に施行されることになっております。全日本トラック協会では、改善基準告示の改正を受けて、荷主向け・事業者向けリーフレットや、改正内容を詳しくまとめた冊子を作成し、配布いたします。また、各都道府県トラック協会でのセミナーを開催するなど、新改善基準告示の周知徹底に努めてまいります。
新改善基準告示では、全日本トラック協会からの主張を受けて、厚生労働省による「荷主対策」が盛り込まれております。厚生労働省による荷主対策の実効性を高めるためには、荷主の実態に関する情報が必要となってまいります。会員事業者の皆様方におかれては、遠慮なく行政に対して荷主情報を申告していただき、実効性の高い荷主対策の実現につなげていただきたいと考えております。また、新改善基準告示の施行により、ドライバーの健康と安全を確保し、過重労働や過労死を何としても防いでいくために、会員事業者の皆様方におかれては総拘束時間の縮減をはじめとしたドライバーの労働環境の改善に向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
経済情勢が厳しさを増すなかではありますが、そうした環境下においてもトラック運送業界が一丸となり、業界を取り巻く諸課題の解決に向けて必死に取り組んでいくことで、当業界の健全的な発展に向けての道が大きく開かれるものと確信しております。今年が「魅力あふれるトラック運送業界への大きな転換点」となるよう、新たな気持ちで精一杯取り組んでまいりたいと考えております。