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年頭所感、鈴与・ムロオ・郵船ロジなど

2023年1月4日 (水)

ロジスティクス鈴与やムロオなど物流関連企業から4日、2023年の年頭所感が発表された。

鈴与・鈴木健一郎社長「『共生』精神で稼ぐ力高め、賃上げにも取り組む」

世界的な人手不足のなか、いかに人をひきつける会社になれるか否かが勝敗を分ける時代だ。鈴与グループにおけるWell-beingの実現を目指しまい進する。Well-beingは、鈴与グループの経営の拠り所である「共生」(ともいき)の精神そのもの。働きやすさ、働きがいをより感じることができるように制度面の充実や仕組みの整備、そして企業文化の醸成に取り組む。

未来に向けて持続的成長を果たすために、中期経営計画を着実に進め、稼ぐ力(収益力)を高めていく。そしてWell-being実現の一部でもある賃上げについても昨年に引く続き取り組んでいく。

ムロオ・山下俊一郎社長「顧客基準でローコスト仕組み構築に意欲」

世界的変化のなかで、国内でも生活用品や食品、燃料に電気と物価の上昇が進んできており、私どもが負担するコストにも痛烈に響いてまいりました。甚だ心苦しいのですが、こうしたなかで荷主各社様には適正料金の収受を目的とした料金改定の交渉をスタートさせていただきました。本来であれば2024年問題を機に料金見直しを検討するつもりでおりましたが、ここ1年での物価の上昇は想定を超えるもので、私どもの経営努力だけでは如何ともしがたいレベルになっております。

また、この後の懸念としては2024年問題を機に現場人材の獲得争奪戦による人件費上昇など、不安要素もまだくすぶっております。23年、24年は、経費的により一層厳しい状況になると思われます。今回、価格改定をお願いしておりますが、私ども自身もさらなるムダムラムリを排除した業務改善やローコストオペレーションのご提案を追求していきます。

この一方、ムロオの新たな動きといたしましては、昨年より九州の小売各社様と協力して九州物流研究会を立ち上げ、この運営に協力させていただいております。流通業界では、これまで各社様とも、自社内であらゆる改善に着手されてきましたが、改善にも限界がきているようです。こうしたなかでライバル同士ではあるものの、お互いに物流インフラの面では協力し改善していこう、との考え方に各社様のご賛同をいただき活動をスタートしております。

食品物流における考え方は、SCMの改善ではなくDCMの改善に世のなかが変わりつつあるのでないかと感じております。S(サプライヤー)基準ではなくD(供給先、最終顧客)を起点とした川下からの流通改革がはじまってきました。私どもの活動も単なる実験で終わるのではなく、地方での物流が持続可能なインフラになり、そのエリアで最も効率が良く、最もローコストの仕組みを作れるように推進してまいります。

ムロオは今後も質の向上、ローコストオペレーションを追求し、国内の食品物流のプラットフォームとなるべく挑戦してまいります。

郵船ロジスティクス・神山亨社長「世界で選ばれるSCロジスティクス企業に」

2022年は、新型コロナウイルスの感染対策に注意を払いながらも、経済活動が急速に動き出した一方、ウクライナ情勢や中国のゼロコロナ政策などにより、世界の物流が引き続き大きく混乱した一年でした。先が見通せず、臨機応変な対応が求められましたが、目の前にいるお客様の「物流を止めない」ために、皆さんの熱意と、一人一人の粘り強い頑張りの積み重ねでこの困難を乗り越えてきました。その結果として、2022年度の上半期は、昨年度を超える業績を収めることができました。皆さんの奮闘とたゆまぬ努力に心から感謝します。

今年は“TRANSFORM 2025”最終フェーズの始まりとなる年度に入ります。これまで第1フェーズ、第2フェーズで積み重ねてきた取り組みの集大成となるよう、さらに進化・成長し、私たちの 使命(MISSION)で掲げている、「世界で認められ選ばれ続けるサプライチェーン・ロジスティクス企業」になっていきましょう。 今年はこれまで以上にSCS(サプライチェーン・ソリューション)事業に注力し、徹底的にお客様に寄り添い、お客様のビジネスを点ではなく面で支えられるように成長していきたいと考えています。

お客様のサプライチェーン全体を見渡し、どうしたらお客様の事業のさらなる成長を支えることができるのか、既存のサービスのその先まで目を向けてみてください。そのとき、同時にESGの視点でどのような提案ができるのか、長期的な視点を持ってInsightを働かせて考えてみてください。サステナビリティーの実現は、あらゆる企業が果たすべき義務であり、解決すべき社会課題です。私たちの約束“Create Better Connections”を軸に、社会課題解決に向けてさまざまな企業の懸け橋となり協働することで、ステークホルダーならびに当社グループのサステナビリティーの実現に向けて力を尽くしていきましょう。

従業員の皆さんは大きな成長を遂げる郵船ロジスティクスの原動力であり、最大の資産です。郵船ロジスティクスは、従業員の皆さんと共に成長します。皆さんが、郵船ロジスティクスで何にチャレンジしたいのか、何を叶えたいか、共に語る、考える一年にしたいと思っています。そして、積極的なコミュニケーションを通じて信頼関係をより強くしていきましょう。郵船ロジスティクスは多様な意見を歓迎します。建設的で自由闊達な意見交換により、皆さん一人一人の良さを最大限に発揮し、風通しの良い、一体感のある組織を作っていきましょう。この明るい社風こそが、郵船ロジスティクスを支える基盤となり、多くのビジネスチャンスにつながると信じています。

川崎汽船・明珍幸一社長「鉄鋼原料船、自動車船、LNG輸送船の3事業に注力」

当社は昨年5月に、新たな5か年にわたる中期経営計画を公表しました。この中計は役職員一同が将来のあるべき姿につき徹底的に議論を進めた「未来創生プロジェクト」を踏まえて策定したものです。過去と同じ轍を踏まぬよう投資規律を維持するとともに、海運が当社の事業領域の主軸となることを再確認しました。低炭素・脱炭素化社会の実現への貢献と収益成長を両立させるため、当社グループの強みを最も生かせる事業領域をさらに磨き、成長をけん引する役割を担う鉄鋼原料船、自動車船、LNG輸送船の3事業に経営資源を集中的に配分する計画です。

中計達成のために必要な環境・技術、安全・船舶管理、輸送品質を磨くため、人材の確保・育成、そしてデジタル社会への対応など機能強化が何より重要となります。今後の成長市場の一つとして位置付けているアジア地域で機能戦略拠点として、K Marine Ship Management(KMSM)社を新たにシンガポールに設立。高品質で安全安心な船舶管理サービスの提供とともに、環境技術に関する提案など地域に根付いた顧客密着型のサポート体制を強化し、今後は米国、欧州にも展開していきます。基幹システムの“K-IMS”の再構築により安全運航、最適経済運航の支援、顧客利便性の向上、“K”-Assistプロジェクトによる統合操船支援システムや機関プラント支援システムの開発も計画通り進ちょくしています。

足元の事業環境に目を向ければ、長期化するロシアによるウクライナ問題やその影響に伴うエネルギー資源価格の高騰、加熱したインフレに対応した金融緩和措置の見直しや急速な金利引き上げ、中国のゼロコロナ政策の行方など経済活動に大きな影響を与えかねないさまざまな不透明でかつ不確実な状況が出現し、需要の先行きを見極めることは大変困難な状況が続きます。

このような不確実性の高い現状を過度に悲観的にとらえる必要はありませんが、当社のさらなる飛躍のためには、全役職員一人一人が鋭く社会情勢の変化を感じ取り、当社グループの強みや海運業として求められるものは何かを常に念頭に置きながら、当社グループならではのサービスや技術を磨き上げて、お客様に選ばれるよう新たな価値を創出するという強い気持ちで臨まなければなりません。社会のインフラを支えるサプライチェーンとしての重要な役目を忘れず、慢心することなく、何が起きてもスピード感と信念をもって対応できるよう、経営基盤の足固めをしっかりと行い、将来の成長に目を向けて一丸となって企業価値向上に取り組んでまいりましょう。

NSユナイテッド海運・谷水一雄社長「他社や荷主との協働で商機、CN対応船づくりも」

海上輸送ですが、振り返ると過去2年、各国の水際コロナ感染対策強化と滞船増加により運航面で大きな影響を受けることになりました。一方で本船稼働の低下によりマーケットは極めて堅調な推移となり、この間の当社業績も望外のプラスとなりました。世界がコロナ対策から経済重視に動くなかで、こういった異常な滞船や歪なマーケットもようやく解消し、これから傷んだ世界経済が成長軌道に戻っていくと予想していますが、どうやら世界はこれまでのトレンドとは違う時代のとば口に立っている、そんな気がしています。

久しぶりの物価上昇と、長く続いた金融緩和の見直し、特に欧米での引き締め、そこに追い打ちをかける50年ぶりのエネルギー危機、そして中国ですが、世界経済と貿易をけん引してきた40年の改革開放からの転換、並行して30年続いたグローバル化の見直し、ウクライナ・台湾など70年ぶりの戦争リスク、いずれも何十年に一回の大きな時代のサイクルが同時に転換期を迎えています。コロナ後にこんな世界が待っていたとは思いもしませんでした。我々も、そういった世のなかのダイナミズムを忘れてはいけません。2030年に向けて海運に大きな影響を与える市場動向・金融情勢など事業環境の見通しやリスク管理について常に点検し、事業のあり方を検証していくことが求められます。今年はちょうど4年間の現行中期計画の最終年、鉄鋼業の動向も踏まえ次期中期計画に向けて検討を進めていく節目の年となります。

一方、変わらないものもあります。事業環境がどう変わろうとも、繰り返しになりますが、サステナビリティーという考え方はグローバルな経営のなかでより重要になります。一昨年当社としてサステナビリティーやESGへの取り組みを再整理し、基本方針を策定しました。また皆さん参加の下で、当社のパーパスを、当社が社会にどんな価値を提供し貢献できるのか、その意義を言葉で表すことができました。

またサステナビリティーやESGは、コーポレートガバナンス強化の一つの軸でもあり、まずはリスクを抑えることから、そしていかにリターンにつなげていけるか。環境価値、社会価値、経済価値の向上を目指します。その際に重要なことは、当社の競争優位の源泉はどこにあるのか、それが将来にわたり優位を維持できるのかどうかです。どういったリスクや機会があるのか、パーパスに照らして当社としてどう取り組んでいけばいいのか、会社の現状、ビジネスモデル、戦略を継続的に検証していくことが求められます。

また、予測困難な時代とはいえ手をこまねいているわけにはいきません。その際には、思いを共有する他社や内外の荷主などステークホルダーとの中長期的視野に立った協働がキーワードになるでしょう。ぜひそういったチャンスを広げていきましょう。申すまでもなく海運最大の課題は気候変動対応です。2050年CN(カーボンニュートラル)を目標に、まずは2020年代後半から30年代前半にかけた船づくりです。種まきを継続するとともに、これまで準備してきたことをいよいよ形にすべく、実行に向けて歩みを進めていければと考えます。我々海運も先ほど触れた世界情勢と同様に、ゼロエミッションに向けて何十年に1回の大きな転換期を迎え次の時代に入っていきます。

さて、足下の課題に移りますと、まずは今期の業績です。足下の事業環境にはめまぐるしい変化もありますが、総じて為替にも恵まれ、昨年度を上回る水準を見込んでいます。残り3カ月ですが、トラブルには万全の注意を払いながら目標達成に向けて頑張っていきましょう。

そして目線は23年度へ。急速な金融引き締めにより、短期的には景気後退局面が予測されています。内外鉄鋼生産も厳しい展開が続きそうです。一方で中国では少しずつですが経済再開が期待されています。こういった動きが新しい時代のサイクルのなかでどう着地していくか、どんなトレンドになっていくのか睨みながら、これからの3か年予算作業に入っていきたいと考えます。

Hacobu・佐々木太郎CEO「物流情報ネットをデジタル変革で24年問題に『解』を」

昨年はコロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻、米国でのインフレからの金利引き上げ、日米の金利差からの急激な円安など、私たちの社会生活に大きく影響を与える事態が次々と起こった1年でした。そのなかでも安定して物流インフラを維持している方々に、心から感謝と敬意を表します。

「モノが運べなくなる」と懸念されている2024年までの、カウントダウンが始まりました。 2024年4月には、法令上ドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に規制され、物流クライシスが現実味を帯びてまいります。物流の「2024年問題」を乗り越えるには、非効率な物流インフラを変革する必要があります。そのカギは協力会社までふくめた自社物流ネットワークの可視化、そしてデータによる現実直視です。

Hacobuは「データドリブン・ロジスティクスが社会課題を解決する」を信念に、22年も数多くの企業の物流DXの挑戦に伴走してまいりました。お陰様で昨年末には、トラック予約受付サービスMOVO Berth(ムーボ・バース)の累計利用者数が、国内トラックドライバーの約半数に相当する、42万人を突破しました。本年もHacobuは走り続けます。MOVOの一層のサービス向上とネットワーク拡大を進め、25年にゴールを目指す「物流情報ネットワーク」をデジタルで実現するための、変革を加速してまいります。これが「2024年問題」に対する、私たちの「解」です。

今年こそ、不都合な真実を直視し、変革へのアクションに挑む1年としませんか。それはとても勇気が必要な一歩かもしれません。しかし、私たちの次の世代に、私たちが当たり前に享受している豊かな社会を受け渡すために、その一歩を共に踏み出しましょう。Hacobuが大事にしている価値観に、「All in the same boat」(険しい挑戦の道を、共に進もう)があります。これは、社内のメンバー間だけでなく、お客様とも共有したい価値観です。お客様の変革に向けた勇気ある一歩に、Hacobuのメンバーは寄り添います。「All in the same boat」の精神で、共に、前へ進みましょう。

大和ハウス工業・芳井敬一社長「創業の原点、社会に役立つ事業を展開」

昨年は、新型コロナウイルス感染症対策とともに社会経済活動が再開し、日本経済における回復の兆しが見えた年となりました。当社では、第7次中期経営計画の初年度となる2023年3月期の第2四半期決算において売上高が過去最高を更新する結果となり、グループ社員全員の底力を実感する一年となりました。

一方で昨年から続く資材価格の高止まりをはじめ、エネルギーの供給不安や日銀の金融緩和修正など、国内外には先行き不透明な要素も混在しています。このような2023年の年頭にあたり、皆さんにお伝えしたいことが3点あります。1つ目は“将来の夢”です。昨年5月、企業のあるべき姿として、大和ハウスグループのパーパスである“将来の夢”―「生きる歓びを、未来の景色に。」を策定しました。これは「2055年に私たちが創り出したい社会」と「大和ハウスグループの果たすべき役割」を示しています。当社は創業以来3000万人以上のお客さまと出会ってきましたが、このお客さまとともに生きる歓びを分かち合える世界を実現できるよう、しっかり理解し、自ら実践してください。

2つ目は「旅」です。私は時間を見つけては、自分ですべてを手配して一人旅に出かけていますが、旅での経験は新たな発見や気付き、そして出会いを与えてくれます。当社グループにおいても第7次中期経営計画という5年間の旅路が始まりました。各事業本部や事業所、そして皆さん個人が目標を立て、その達成に向けて努力されていますが、そのなかで経験するさまざまな出来事は、必ず自分たちの成長へとつながります。

この経験を糧として日々業務にまい進してください。3つ目は、私の今年の一文字「遵」です。改めて襟を正す一年にしたいと思います。当社では近年、コンプライアンス強化に努めており、皆さんにもさまざまな取り組みを実施いただいていますが、まだ不十分な点も見受けられます。ルールの遵守なくして企業の成長はありません。法令や会社の規則はもちろん、お客さまとの約束など、あらゆる決めごとを遵守してください。最後に、当社を取り巻く事業環境は変化を続けており、年々そのスピードを増しています。しかし、当社において変わらないものは創業の原点である「社会の役に立つ事業の展開」です。この創業者精神を行動の規範とし、皆さんのさらなる飛躍の一年となることを期待しています。

24年問題対応やDX加速へ決意新た、年頭所感

年頭所感、西濃・近鉄エクス・商船三井・JILS

年頭所感、三井倉庫・日本倉庫協会・JIVAなど

全ト協会長、年始めに運賃交渉など荷主対策へ決意