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22年末の価格転嫁率は4割弱、倉庫・運輸は2割

2023年1月24日 (火)

(イメージ)

調査・データ帝国データバンクは23日、物価高騰分の販売価格・サービス価格転嫁に関する2022年12月時点の実態調査の結果を発表した。7割の企業で多少なりとも価格転嫁できているが、価格転嫁率は39.9%で4割に届いておらず、運輸業などで転嫁が低水準だった。転嫁できない理由として「取引企業から理解が得られ難い」が39.5%でトップだった。

調査結果によると、コスト上昇分をどの程度転嫁できているかという問いに、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は69.2%となった。内訳をみると「すべて転嫁できている」は4.1%にとどまり、「8割以上」は12.7%、「5割以上8割未満」は17.1%、「2割以上5割未満」15.2%、「2割未満」は20.1%となった。「全く転嫁できていない」企業は15.9%だった。総合すると価格転嫁率は39.9%で、これはコストが100円上昇した場合に39.9円しか販売価格に反映できていないことを示している。22年9月調査では36.6%だったことから、帝国データバンクは緩やかに価格転嫁が進んでいる様子がうかがえるとしている。

業種別にみると、価格転嫁率が高い業種は「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(66.0%)や「化学品卸売」「紙類・文具・書籍卸売」(ともに62.8%)。逆に低い業種は「医療・福祉・保健衛生」(10.5%)や「娯楽サービス」(12.7%)、続いて「運輸・倉庫」(20.0%)だった。調査の回答者からは「物流業界は競合他社との兼ね合いが強いため、自社だけで交渉することは難しい。価格交渉によって受注の減少も懸念される」(一般貨物自動車運送業、福島県)という厳しい声があったという。

上昇分の6割は企業負担

価格転嫁以外の対応策(複数回答)については、58.6%の企業で「自社経費の削減」を実行していた。ほかに「ロスの削減」(42.4%)、「生産の効率化」(23.4%)、「内部留保による対応」(17.3%)など、自助努力での対応がうかがえた。「仕入先・外注先への値下げ交渉」(16.9%)を行う企業も一定数存在した。

価格転嫁ができない、難しい理由(複数回答)については、「取引企業から理解が得られ難い」が39.5%で最多。「自社の交渉力」(25.0%)を理由に挙げる企業も4社に1社あった。「理解を得られるように準備し完璧に説明をするほど、顧客との溝ができてしまい同業他社へ流れてしまう」(一般貸切旅客自動車運送業、愛知県)という声もあった。

帝国データバンクは、依然として価格転嫁は進んでおらず、交渉自体が行えない点を挙げる企業もあり、政府にさらなる取引適正化に資する取り組みが求められる、と総括している。調査は22年12月16日~23年1月5日に行い、全国1万1680社から有効回答を得た(回答率43.0%)。

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LOGISTICS TODAY編集部
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