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紙製品の荷降ろし自動化で出荷力向上、Mujinが支援

2023年3月16日 (木)

(出所:Mujin)

ロジスティクス産業用ロボット開発のMujin(ムジン、東京都江東区)は16日、紙製品メーカーの協和紙工(愛媛県四国中央市)の第2ロジスティクスセンター(同)で、物流現場における荷降ろし自動化ソリューション「MujinRobotデパレタイザー」を使用し、出荷ケースの荷降ろし作業の自動化に成功したと発表した。混載の積み荷にも対応できるロボットが従来よりも出荷能力を最大70%向上させ、安定的な出荷体制の構築に寄与したとしている。

発表によると、同センターに導入したMujinRobotデパレタイザーは、高度な知能化ソフトウエアにより、複数のケースを同時に荷降ろしする「マルチピック」機能が特徴。

▲ケースの荷姿・配置を自動認識し、最適な荷降ろし方法を選択(クリックで拡大)

さらに事前の商品情報登録を必要としないマスターレス運用のため、新たなケースの品種が追加された際もケースの形状や配置を自動認識。マルチピックの可否も含めて最適な動作を自律的に計算して実行する。

今回のセンターでは同デパレタイザー2台を導入したところ、1時間当たり1000ケース以上の荷降ろしを実行する高い能力を発揮しているという。取り組みには安川電機も協力した。

物流DXによる持続的な機能強化に欠かせない「差別化できるロボティクス」

IT技術の力で現場の業務効率を高めることにより、人手不足などの問題を解決に導く「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」という発想。単なる「機械化」「デジタル化」から一歩進めて、IT技術の浸透により現場の業務をよりスムーズなものに変革する取り組みだ。

こうした物流DXの動きを象徴する存在なのが、ロボティクスという概念だ。これまで人間が担っていた作業をロボットに委ねることで、現場従事者の作業負担を軽減するとともに、最適な人材配置を促す。さらには、AI(人工知能)などの先進機能を搭載することで自律的な作業をも実現する。まさに有能な従事者の代替も可能とするところまで、急速な進化を遂げている。

それは、事前にプログラムで設定された動きを繰り返す仕様が一般的な「産業用ロボット」のこれまでの概念を覆す成果でもある。こうした実績を着実に積み上げてロボットの「知能化」を推進する取り組みで注目を集めるのが、ムジンだ。

ムジンはロボットの知能化ソフトウエアの開発で物流DXのあり方を提示するとともに、その卓越した技術力でロボティクスの進化をけん引する地位を確立しようとしている。

自律的に最適な動きだけでなく、リアルタイムでの振る舞いもできることから、EC(電子商取引)の普及を契機とした消費スタイルの多様化で生まれた、物流現場における従来と異なる「繁閑の波」や「荷姿の多様化」にも的確に対応できるのが強みだ。

そもそも、ロボット工学は日本の産業界における技術力を象徴する存在として認知されてきた。しかし、近年は経済的に台頭が目覚ましい中国をはじめとする新興国が急速に高い技術を獲得するなど、グローバルでの勢力地図は変貌している。

ともすれば、こうした新興勢力に埋没しかねない危機に瀕する国内のロボティクス。存在感を示すには、独自の発想で使い勝手を含めた機能の差別化を強く印象付けることだ。グローバルの観点からも今後の成長産業であることは間違いない「物流」。その持続的な成長を促す「圧倒的な差別化を提示できるロボティクス」を、国境を超えて実現していく。これが物流DXを主導する企業の条件になるだろう。(編集部・清水直樹)

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