話題4月12日から始まる関西物流展に、ある乗務後自動点呼の認定機器が初めて出展される。運送会社専門のシステム会社として30年以上の業歴を持つ、NPシステム開発(愛媛県松山市)の「AI点呼システム」だ。
乗務後自動点呼は、AIやロボットなどの点呼支援機器が人に替わって乗務後点呼を実施するもので、ことし1月に認められた最も新しい点呼手法。「AI点呼システム」などの国交省認定機器(3月23日時点で4社5機種)を用意して運輸支局に届け出れば実施できるようになる。ドライバーと運行管理者の長時間労働を軽減するために、ぜひとも活用したい制度だ。
NPシステム開発経営企画室室長の福本啓介氏によると、特にことし1月以降の問い合わせが急増しているようで、その数は以前の15倍にものぼるという。新しい改善基準告示が適用される2024年4月を前に、多くの物流会社が関心を示す。
1つのシステムで全ての点呼に対応
こうした中、国交省の認定を受けてから初めて展示会に姿を見せる「AI点呼システム」。話を聞くと、長く付き合いのある運送会社からの要望で開発を始めたという。
福本氏「運送会社の声に耳を傾け、システムに反映する。とにかくお客様目線で開発と改良を重ねてきました。基本の対面点呼から最新の乗務後自動点呼まで、1つのシステムですべての点呼に対応する仕様にしたのも、その表れです」
どういうことか。名古屋支店の可児勝昭氏が解説する。
可児氏「運送会社は多くの場合、拠点ごとに複数の点呼を使い分けています。例えば、Gマークを取得している拠点はIT点呼、その他は対面点呼と遠隔点呼、これからの乗務後点呼は自動点呼、といった具合にです。『AI点呼システム』は、対面、電話、IT、遠隔、自動点呼のすべてに対応し、デジタコとも連携するので管理がしやすい。将来を見据えて点呼手法を変えるときにもスムーズに移行できます」
可児氏は、乗務後自動点呼の実証実験に参加した大規模事業所で頻繁に点呼待ちが発生したことを聞き、AI点呼システムでは機器を3台まで増設可能とし、点呼待ちの間にドライバーが必要事項を入力することで、点呼待ちを解消できる仕様とした。あらゆる点呼に対し、徹底的に効率化を進めている。
ドライバーと運行管理者の視点に立つ
しかし、現実にはIT技術を使った点呼手法に抵抗感のある現場も少なくない。パソコンやスマホの操作に不慣れなドライバーでも利用できなければ、正しく効率的な運行管理は難しい。
福本氏「きちんと運用してもらうため、使う側の視点に立つことを大切にしました。操作はタッチパネルでボタンを押すだけ。顔認証で本人確認を行い、運行管理者への連絡事項がある場合には、音声で録音します。シンプルでわかりやすく、きちんと伝わること。これが欠かせません」
乗務後自動点呼の実証実験に参加したユーザーからも、「機器の操作が苦手なドライバーでも、飲食店のタッチパネルで注文するときと同じ感覚で操作できる」と好評だったという。
ドライバーが録音した連絡事項は、メールで運行管理者に通知される。デジタコと連携している場合には、月半ばで「〇〇ドライバーの労働時間がオーバー気味」などの警告もメールで通知される。ドライバーには、点呼システムとデジタコの画面から警告を通知する仕組みで、ドライバー自身の自己管理を促す。
可児氏「帰庫時や深夜帯の点呼時に管理者が現場にいない場合でも、点呼状況を迅速に把握できるようにするために、システム上の通知だけでなく、メールによる通知を採用しました。運行管理者の負担軽減にもつながります。さらに、デジタコを連動させれば、運転時間などの情報を活用することで、より適切な指示・指導を行えるのではないでしょうか」
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NPシステム開発は、今回の出展ブースの見どころとして、AI点呼システムとデジタコ、運行管理システムの連携を挙げる。ここでは紹介しきれなかったが、新しい改善基準告示を自発的に守っていくための仕掛けが用意されているという。全営業社員の半分以上が運行管理者の資格を持つという、徹底した現場目線のNPシステム開発にぜひ話を聞いてみていただきたい。2024年4月を前に、全国の運送会社と30年以上対話を続けてきた同社から得られるヒントは大きいはずだ。
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)4号館と6号館A・B
ブース:6号館「A2-12」
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)