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日本郵便、141局・支社が運賃交渉を無視・回答せず

2023年4月14日 (金)

調査・データ中小企業庁が2月に行った中小企業に対する価格転嫁に関する調査で、最も価格転嫁できていない企業との「最低評価」を受けた日本郵便は14日、全国の集配郵便局・支社に対して行った自社調査の結果を報告した。それによると、取り引き先の賃上げ要請に対し「協議しない」「回答しない」といった対応を取った事例が、全体の13.9%にあたる139局・2支社でみられたことがわかった。

調査はことし2月9日から28日まで、全国の集配郵便局のうち下請け取り引きを有する1001局と13支社にアンケート形式で実施。21年6月から22年5月までに交わされた集配関係委託契約の下請け取り引きについて、発注方法、書類の保存、代金の支払い、支払い額の決定、経済上の利益の提供要請――など、取り引き上で親事業者に求められる対応や禁止事項の実施状況を確認した。

その結果、下請法に基づく運用基準や、下請中小企業振興法の振興基準において、親事業者に求められる対応として一部に不適切なものがあったとした。具体的には、取り引き先からの燃料コストの上昇などを理由にした運賃の引き上げ要請に対し、「協議することなく据え置く」または「据え置いた際、その理由を文書やメールで回答しない」事例は139局・2支社でみられた。また、日本郵便の営業用物品を、協力会社に無償で配達させた事例も1件あったという。

同社はこの調査の結果について、「下請法や下請中小企業振興法の改正内容などについて本社の認識、指示が遅れたため、各郵便局や支社に理解浸透が徹底されなかった」と原因を説明している。

同社は中小企業庁から最低評価を受けた1週間後、協力会社とのパートナーシップ構築に向けた取り組みの実施を表明した。今回の自社調査もその一環だ。その後、全国13支社に協力会社との窓口を設置し、これまでに委託料の見直しを含む133件の問い合わせに応じている。

また、2月20日から3月末までに設定した協力会社との「コミュニケーション促進月間」を4月末まで延長し、現在締結している5500件の集配関係委託契約について、協力会社との間で見直しなどの協議を進める。4月10日時点で全体の2割弱と運賃の見直しに至っているとし、残りの8割強は現在も協議中。期間中に協議を完了するとしている。

下請け取り引きの適正運用に向けた管理体制についても言及。郵便局や支社、本社の役割を明確化し、契約内容や手続きデータによる整備や契約手続きの電子化の試行、管理担当者への定期的な研修などに取り組むとした。

中小庁22年9月価格交渉調査、日本郵便が最低評価

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