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事業展望を具現化して保管型施設で顧客ニーズに応える

2023年5月24日 (水)

話題神奈川県厚木市北部の上依知地区。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「相模原愛川インターチェンジ(IC)」から国道129号(厚相バイパス)を南へ5分ほど走ると、右手に工業団地が見えてくる。この厚木市と愛川町にまたがる「内陸工業団地」の一角で4月1日、物流施設の建築工事が始まった。

物流不動産に特化したビジネスを展開するシーアールイー(CRE)が2024年3月末の完成を目指す開発プロジェクト「ロジスクエア厚木II」。同社は、2020年6月に開発用地を取得してから、コロナ禍に伴う、物流業界の動向も見据えながら具体的なコンセプトの策定を進めてきた。

▲「ロジスクエア厚木II」外観パース

県内をはじめとする南関東におけるサブリースなど幅広い物流不動産ビジネスで存在感を高めているCREは、こうした「地の利」をロジスクエア厚木IIの基本設計にも反映させていく。

「最適化された保管型施設」に沿った機能を追求

▲開発事業本部 物流投資企画グループの 野村憲孝氏

「最適化された保管型の物流施設」(開発事業本部 物流投資企画グループの野村憲孝氏)。これが、CREが設定するロジスクエア厚木IIのコンセプトだ。その特徴は、圏央道から東名・新東名高速道路をはじめ関東一円から広域配送まで、多様な輸送体系の構築を実現できる立地。そして、「厚木エリア」に集積する他の物流施設と差別化を図るポイントが、いわゆる「ボックス型」ならではの保管に適した構成にある。

物流施設を機能で分類する場合、大きく「保管型」と「通過型」の2タイプに区別できる。「保管型」は、全フロアを1社で賃借するケースが多く、都市部よりも郊外の物件でより多く採用される傾向がある。保管型物件は、商品を在庫として確保しておくだけでなく、荷主などのニーズに対応してスムーズに出荷できる仕様が求められる。

「ロジスクエア厚木IIは、保管型でボックスタイプの物流施設として訴求していきたいと考えています。その方針に即した機能を追求していきます」(野村氏)。こうした考え方を反映した代表的な機能とは何か。野村氏は、「余裕ある梁下有効高」「大型貨物用搬送機」「2.5トンフォークリフト対応」の3つのキーワードを掲げる。

余裕ある梁下有効高で保管スペースを広げ、冷凍・冷蔵機能にも対応

▲竣工済のロジスクエア厚木Ⅰの倉庫外観(ロジスクエア厚木Ⅱも同等の外観となる予定)

まずは、梁下天井高。保管型物件は、文字通り商品を保管する能力を高めることで、入居事業者のニーズに対応する必要がある。それには、保管できる有効スペースの容積を大きくすることが求められる。

CREは、ロジスクエア厚木IIで、各フロアの梁下有効高、つまり商品を積み上げることのできる高さを業界標準の5.5メートルを上回る「6メートル以上」と設定。「単位面積当たりの空間利用率を9%高めることができる計算で、それだけ商品を保管できるスペースを多く確保できるメリットを訴求できます」(野村氏)と説明する。

こうした余裕ある梁下有効高の設定は、商品の保管能力向上に貢献するだけではない。入居テナントが冷凍・冷蔵設備の導入に必要な、床断熱や天井パネルの装着に対応できるスペース確保にも効果を発揮する。

冷凍・冷蔵倉庫といえば、かつては湾岸部での需要が高かったが、輸送の多様化やニーズの高度化で内陸部でも、こうした機能を求める動きが広がっている。そして、全国でも有数の輸送ビジネスの要衝である厚木エリアであれば、冷凍・冷蔵機能の対応は、荷主企業などにインパクトのあるアピールポイントとなる。CREの狙いもここにある。

「縦方向の移動効率」が施設の価値を高める

▲竣工済のロジスクエア厚木Ⅰの倉庫内(ロジスクエア厚木IIは同等のスペックとなる予定)

さらに、CREは、商品を複数フロアに分けて蓄えておく場合に欠かせない貨物用エレベーターも、保管型多層階施設ならではの欠点をカバーする仕様にしている。

多くの商品を保管するテナントが頭を悩ませるテーマなのが「スムーズな縦方向の移動」だ。
そこで、CREでは、ロジスクエア厚木IIに導入する貨物用エレベーターのサイズを一回り大型化することで、積載できるパレットを一般的なタイプの6枚から8枚に増したほか、積載荷重も4.1トンに高めた。「さらに、貨物用エレベーターの昇降速度も標準的な毎分45メートルから60メートルに引き上げることで、保管業務のさらなる効率化を支援しています」(野村氏)。

保管型のみならず物流施設に欠かせない、円滑で効率的な庫内搬送。それを実現する取り組みとしてロジスクエア厚木IIでは、2.5トンフォークリフトに対応した構造を採用した。「厚木エリアでも希少性の高い機能として、入居を希望する事業者に訴求できるポイントと位置付けています」(野村氏)としている。

物流施設の現場で活躍するフォークリフトは、一般的には1.5トンタイプが主流になっている。しかし、CREでは、床の強度を高めるなど構造上の耐力をあげることで、より搬送能力の高い2.5トンフォークリフトを稼働できるようにした。さらに、大きな荷物を搬出入できるように、余裕のある敷地を確保できる内陸工業団地の利点を生かして、広めのトラックヤードや誘導路を確保しているのも特徴だ。

神奈川県初の用地取得プロジェクトで新発想の物流施設を訴求

「世界の人とモノをつなぐ物流インフラプラットフォームのNo.1(ナンバーワン)企業グループ」。それがCREの事業ビジョンだ。これを具現化する存在が、着工にこぎつけたロジスクエア厚木IIになる。CREにとっては、首都圏で強固な事業基盤を構築してきた神奈川県内で、初の物流施設開発用地取得によるプロジェクトになるため、思い入れは非常に強い。

CREは、物流施設ブランド「ロジスクエア」の使用電力を再生可能エネルギーへ全て転換することを目的に、ロジスクエアの屋根を活用したグリーン電力供給を主な事業とする新会社を、エンバイオ・ホールディングスと共同出資で設立した。ロジスクエアシリーズで相互に再生可能エネルギーを融通し合うスキームの構築や、CREグループが管理運営する第三者施設に再生可能エネルギーを供給することも視野に入れ事業を展開する。

ロジスクエア厚木IIは、こうした取り組みを推進するCREの企業姿勢を社会に訴求する絶好の舞台でもある。CREが、本年3月末竣工、稼働中の「ロジスクエア厚木I」とともに、厚木エリアで顧客ニーズに寄り添う物流サービスをいかに提示するか。今後の動向に注目したい。

ロジスクエア厚木Ⅱの概要
所在地:神奈川県厚木市上依知3012-2
敷地面積:1万33.04平方メートル(3034.99坪)
延床面積:1万8421.67平方メートル予定(5572.55坪)
構造:S造、地上5階建
交通:首都圏中央連絡自動車道「相模原愛川インターチェンジ」3.2キロ、JR相模線「下溝駅」4.0キロ
竣工:2024年3月末予定
物件ページ:https://www.logi-square.com/development/detail/atsugi2
問合せ先:リーシンググループ 03-5572-6604 leasing_mail@cre-jpn.com
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