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和歌山ジャイアントパンダ輸送、特性配慮に難しさ

2023年5月17日 (水)

ロジスティクス全日本空輸(ANA)の航空貨物事業会社ANAカーゴはこのほど、ことし2月に和歌山県のテーマパークで暮らしていた3頭のジャイアントパンダ(永明、桜浜、桃浜)を中国へ輸送した際のエピソードを公開した。温度・音・景色に敏感なパンダの特性に気を使うなど、動物輸送における配慮の難しさが垣間見えた。

今回の輸送プロジェクトを担ったのは、ANAと数々の貨物輸送実績を持つ南海エクスプレス、そしてパンダの習性を熟知するアドベンチャーワールドのスタッフだ。通常であれば、パンダを旅客機に貨物として積み、スタッフと一緒に直行便で中国に入国できるが、新型コロナウイルスの影響により、中国・成都までの直行便が運休。チャーター機を手配して、関西国際空港から現地に運んだ。

▲トラックへの積み込み(出所:ANAカーゴ)

南海エクスプレスの担当者は早朝からアドベンチャーワールドで準備を行い、パンダ用檻の下にトイレを設置するなどの衛生管理も徹底。動物輸送や医薬品輸送などを担当する特殊チームが、関西国際空港まで120キロ、3時間の道のりを担当した。寒さが厳しい2月にトラック・コンテナ内の温度を一定に保つため、10〜20度に維持できる4トン温調車を使用して13度に設定した。

関西国際空港に到着後、貨物上屋で書類提出や検査検疫、計量を済ませ、航空機に搭載するコンテナへパンダたちを積み付ける。その際、景色の変化に敏感なパンダたちを驚かせないよう貨物上屋の中にコンテナで壁を作った。上屋から航空機へ移送する際には、積み込みをスムーズに行うため一番近い駐機場を用意した。

▲搬送の様子(クリックして拡大)

パンダたちを関西国際空港から中国・成都(5時間のフライト)まで輸送するには、貨物室を10度以上に保つことと、酸素濃度を一定に保つことが求められた。事前に、本番と同じ機材を使って飛行機に温度計を搭載し、温度推移をモニタリング。また、飛行中にデータを確認しながら酸素濃度を一定に維持した。

飛行機は2月22日19時に日本を出国し、翌日未明に成都に到着。3頭のパンダは元気に中国に戻った。

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LOGISTICS TODAY編集部
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