DNP、AMRの移動距離34％短縮のシミュ開発

サービス・商品大日本印刷（DNP）は23日、デジタルツインプラットフォーム「Wisbrain」（ウィズブレイン）を手がけるUltimatrust（アルティマトラスト）と、物流倉庫や飲食店などで稼働するAMR（自律走行搬送ロボット）の経路を最適化するアルゴリズムと導入効果を検証できるシミュレーターを開発したと発表した。

（イメージ）

「Wisbrain」は、設置した情報機器から取得したデータを集約し、AI（人工知能）で高精度な解析をするシステム。シミュレーターは、このシステムに、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」（DAS）を搭載して開発した。

DASは量子コンピューターで使用されるアニーリング手法を、GPUを利用した並列計算で高速化したソフト。このソフトを利用することで、常に変化するAMRや障害物などの位置を把握し、最適な移動経路を短時間で計算することで、AMRの稼働率を高める。また、シミュレーターにAMRの台数や稼働領域マップ、経由地などの条件を設定して、アルゴリズムの効果の検証を可能にした。

開発にあたって、125×200メートルの倉庫内でランダムに抽出した8つの経由地をAMRが通るという条件で、AMR10台をシミュレーター上で稼働させたところ、最短経路を導くために以前から使われている方法に比べて、移動距離が34％短縮したという。

加えて、「Wisbrain」でカメラやセンサーから得た障害物の情報を活用し、経路をリアルタイムで再探索が行えるようにした。障害物の存在を前提に経路を提示するため、衝突や停止の事前防止につながるとしている。

▲シミュレーションのイメージ（左）と各ロボットの移動距離を示したシミュレーション結果（出所：アルティマトラスト）

2社では今後、物流倉庫業、製造・物流関連企業、飲食業などで、PoC（概念実証）などを通じて、ロボット導入による効果を検証する。加えて、2023年度中に開発したアルゴリズムを使ったAMRの経路最適化システムを開発し提供する。

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LOGISTICS TODAY編集部
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