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悩ましいルート選択/ドライバー日誌第5回

2023年5月18日 (木)

ロジスティクス軽バンの荷台に、その日の午前中に配送する飲料水入りの箱をぎっしりと詰め込んだ。その数、実に17セット34個。辛うじて運転席からリアゲートの窓を通して後ろを確認できる積載量だ。

(イメージ)

「それでも今日はまだ少ない方です。夏場に向かってどんどん増えていきますよ」。先輩の配送員から容赦ない「脅し」を浴びせられるうちは、戦々恐々の日々が続きそうだ。

荷台に荷物を積み込む作業とともに、出発前に欠かせないのが点呼だ。アルコールチェックはもちろん、体温や健康状態、さらには前夜の睡眠時間の申告も求められる。それも、顧客に荷物を間違いなく届ける業務を完遂するために欠かせない事前準備なのだ。

出発前の積み込みで「ひと仕事した」なんて感じているうちは、夜までの配送業務にとても耐えられない。容易に想像できることではあるのだが、それを体で覚えようとするならば、やはり実体験にかなうものはない。

▲スマートフォンの地図アプリケーションで配送ルートを設定する。時間内に配り終えるために欠かせない作業だ

さて、午前中の配送先は17か所。配送エリアは2つの市にまたがり、市街地や住宅地など顧客の分布も様々だ。ここで遅配なくできるだけ無駄な動きをせずに配り終えるためにかかせないのが、最適ルートの選択だ。ここでは、A地点からB地点への単純なルートを決めるのではない。最初から最後の訪問地まで、できるだけ重複を避けながら、抜け漏れなく配送先に立ち寄る必要があるのだ。

何十分も頭を抱えているわけにはいかない。わずかな時間でルートマップを完成させなければならない。近年の配送員は、スマートフォンにダウンロードした地図アプリケーションを活用するのだが、それでもルートを選択するのは配送員自身だ。

さあ、どうやってルートを組もうか。思案している時間はない。午前中の配送を指定している顧客が待っているのだ。(つづく)

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