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CBRE調べ、首都圏物流施設の平均空室率、1.6ポイント改善

2010年10月20日 (水)

拠点・施設シービー・リチャードエリス(CBRE)は20日、首都圏のマルチテナント型賃貸物流施設の動向(9月時点)を発表した。平均空室率は、前期(2010年6月期)の横ばいから1.6ポイント低下して13.7%に改善、テナントの移転件数や面積は増加傾向となった。

 

今期の平均空室率は、1.6ポイント低下し13.7%。前期は、比較的新しい物件での空室消化と既存物件からのテナント流出が拮抗した結果、空室率は横ばいだったが、今期は新規供給物件がなく、テナント流出が少なかったことから、空室消化が比較的進み空室率は改善した。

 

新たに入居するテナントは物流業務を請負う物流会社が中心だが、食品やアパレル、通販会社といった荷主の拠点開設の動きが目立った。また、羽田空港国際化を見据えた企業進出の動きについては、大手物流会社による自社施設の建設が明らかになっているが、現時点では、周辺賃貸施設への波及効果は限定的、と指摘。

 

年内は新規供給がなく、引き続き需給バランスの改善が期待される一方で、企業の設備投資意欲の本格回復にはしばらく時間がかかる、と予想した。

 

同社によると、物流施設では竣工後に稼働率が徐々に上がっていくのが一般的で、同社も竣工後1年以上を経過した既存物件の空室率を一つのベンチマークとしているが、こちらは0.9ポイント上昇して12.8%となり3期連続で上昇を示した。

 

今期は、既存物件からの大きなテナント流出は見られなかったが、空室を抱えた新築物件が今期から既存物件に加わったことが影響し、僅かながら上昇する結果となった。ただし、マーケット規模を示す稼働床面積(指数)の推移をみると、稼働床面積は引き続き増加しており、マルチテナント型物流施設のマーケット全体では順調な拡大がみられる。

 

シービー・リチャードエリスの田口淳一インダストリアル営業本部長は「物流施設は確かにリーマン・ショックの打撃も受けたが、効率化を狙った施設集約などの動きは進んでおり、移転件数や面積は昨年に比べて増えている。まとまった空室があることで、賃料水準が抑えられている現状はテナント企業が事業戦略を考える好機となっているようだ」と話している。