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「2024年問題」へ、現場業務の省人化に有効なシステムを訴求

YEデジタルが導くワンランク進化した倉庫DXの道程

2023年9月4日 (月)

話題東京都江東区の東京ビッグサイトで9月13日から3日間開催される、国内最大の規模を誇る物流関連の見本市「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」。国内外に拠点を置く幅広い領域の企業や各種団体が、物流に関わる革新的な取り組みを紹介する機会であり、今回は3万人の来場者を見込んでいる。

(イメージ)

そんな絶好のビジネス機会に、庫内オペレーションの自動化を可能にするシステムをはじめとする、倉庫内業務におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを訴求するのが、北九州市小倉北区に本社を置くソフトウェア開発のYEデジタルだ。

1978年の創業時より蓄積してきた、基幹システムや製造現場の支援システム開発を手掛けた実績から、国内屈指のIoT(モノのインターネット)ベンダーとしての地位を確立してきたYEデジタル。時間外労働の上限規制などに代表される働き方改革関連法の施行に伴う「物流の2024年問題」や、EC(電子商取引)の普及などを契機に顕在化している人手不足など、山積する問題の解決を迫られる倉庫現場を、その先進的なシステムでどう変えようとしているのか。

YEデジタルのWESで自由に倉庫自動化

長年の物流システム開発で培ってきた技術や知見を磨きあげ、自動設備連携や作業管理といった機能を重視した独自開発の倉庫自動化特化型WES(倉庫運用管理システム)「MMLogiStation」(エムエムロジステーション)を展開するYEデジタル。どのマテハンメーカーにも連携できるシステムの提供、マテハン連携に伴い肥大化するWMS(倉庫管理システム)の改修を抑えるのがMMLogiStaionの特徴だ。

▲MMLogiStationは、従来と比べてWMSの改修を最小限に抑えることができる

新サービス データドリブンの発想に基づく物流倉庫向け意思決定支援ダッシュボード「Analyst-DWC」

サプライチェーンの中枢をなす物流倉庫だが、近年はその姿を急速に変貌させている。取り扱う荷物の量が急増する一方で、その荷姿も多様化。一方で、現場で荷扱いに従事するスタッフはなかなか集まらず、少子高齢化の影響もあって人手不足が慢性化している。増える一方の荷物を扱う人員が絶対的に足りないという構造的な問題を抱えて、倉庫を運営する事業者の苦悩は深まるばかりだ。それに拍車をかけると懸念されるのが、2024年問題なのだ。

▲マーケティング本部事業推進部担当課長の森山藍氏

2024年問題への対応策として、現場業務の効率化は避けて通れないテーマだ。倉庫現場では、荷扱いにおける省人化に向けた取り組みとして、ロボットやマテリアルハンドリング(マテハン)機器の導入が進んでいる。とはいえ、こうした先進機器の効率的な整備の方法が分からない。多額な費用負担も気がかりだ。

そんな悩みを抱える倉庫現場管理者を支援するシステムを提供できないか。ここに着目したのが、YEデジタルだった。「さまざまなデータに基づき判断して行動する『データドリブン』の発想に基づき、倉庫運営の実現を支援する意思決定支援ダッシュボード「Analyst-DWC」を2024年春にリリース予定しています」(マーケティング本部事業推進部の森山藍・マーケティング担当課長)

倉庫業務の効率化を促すシステムとして、広く普及しているWMS、その他さまざまな周辺システムから蓄積した、さまざまな倉庫内のオペレーションデータをリアルタイムで収集し、分析することで、作業員の配置、作業順序、作業時間の予測など、多岐にわたる改善が可能。倉庫全体で現在起きている事柄を総合的に分析しやすくするほか、人員配置をシミュレーションすることで改善効果を事前に把握でき、現場管理者の意思決定をデータに基づき、効率よく支援を行えるダッシュボード。

▲マーケティング本部事業推進部担当課長の梅林稔氏

「人手不足という厳しい状況下で、どのように作業効率を最大化し、作業ミスを減らし、業務時間を削減するのか?『Analyst-DWC』は、物流倉庫の現場における課題を解決し、管理者の負担を軽減します」(マーケティング本部事業推進部の梅林稔・マーケティング担当課長)――。

この効率化を促すシステムを、物流に携わるあらゆる層に訴求する。今回のINNOVATION EXPOでは、そのダッシュボードのイメージなども確認しながら、より具体的な導入イメージを固めることが可能だ。

導入先のデジタル活用レベルを5段階で評価

このたびリリース予定の「Analyst-DWC」をはじめ、自動設備連携や作業管理といった機能を重視した独自開発の倉庫自動化特化型WES(倉庫運用管理システム)「MMLogiStation」を展開するYEデジタル。こうした開発に際して重視しているのが、システムを導入する現場におけるデジタル化ステージの分析だ。対象となる倉庫現場でのデジタル化の進み具合を具体的に5段階で評価することにより、現在地と将来の進みたいステージを明確にする取り組みだ。

まずは「レベル1」。紙ベースのアナログ現場であり、「現場運用は指示書やリストなど、ほぼ紙ベースのアナログ作業。荷物を入れた場所を記憶したベテラン作業者なしでは、回らない現場」(森山氏)だ。そこからWMSとバーコードリーダを導入して、入出荷や入出庫、在庫管理など基本作業の指示・管理をシステム化したのが「レベル2」。さらに、マテハン機器やロボットを部分的に導入するなど、自動化に向けた一歩を踏み出した段階が「レベル3」だ。

「こうした先進的なシステムを複数、または大規模に導入して、倉庫内の各工程を互いに連携させることで自動化レベルを大きく向上させているのが『レベル4』。いわゆる『本格導入のステージです』」(森山氏)。最後に、人手作業が残りがちなトラックからの積み下ろしや設備工程間搬送などを全面的に自動化するとともに、デジタルツイン(現実の世界から収集したさまざまなデータを、まるで双子であるかのようにコンピューター上で再現する技術)でシミュレーションによる最適化計画などを策定できる段階が「レベル5」だ。

▲物流センターの自動化におけるロードマップ

「倉庫現場の大半は、レベル2とレベル3に含まれると考えています。さらに、その7割はレベル2に分類されるのが実情ではないでしょうか」(森山氏)。このレベル2にある現場をレベル3に引き上げる。これこそが、YEデジタルの倉庫DXシステム開発における戦略なのだ。

レベル1に分類される現場は、倉庫DXの具体的な取り組みを進めるのは現実的に難しい。一方で、すでにレベル3やレベル4にある現場は、デジタル化の重要性を認識しているとともに、一定水準の実績もある。それならば、倉庫DXを志向するものの、その実現に向けた行動は途上にあるレベル2の現場こそが、システム導入の効果を最大化できる対象となるわけだ。

YEデジタルの強み「拡張性」「マテハンフリー」前面に訴求

YEデジタルのシステム開発における方向性について特筆すべきは、その拡張性だ。YEデジタルが提供するMMLogiStationは、「現場でのさまざまなデータの集約から、複数の拠点間をつないだ全社単位での情報連携に拡張させていくイメージ」(梅林氏)を想定。倉庫現場におけるDXの実現に欠かせない「全体最適」を支援する機能の必要性を重視している発想と言えるだろう。

どのマテハンメーカーにも連携できるシステムの提供も、YEデジタルのこだわりだ。システムとマテハン機器の連携がスムーズにいかず、倉庫現場のDXの推進に支障を来たす事例は、これまでも物流業界で指摘されてきた。マテハンメーカーフリーは、YEデジタルのシステムについて語る上で、欠かせないフレーズなのだ。

▲「MMLogiStation」でWMSの負担軽減をし、役割をシンプルにすることで、WMSの肥大化、コスト増大を解決できる

今回のINNOVATION EXPOでは、こうしたYEデジタルの強みを反映した各種システム・サービスをまとめて訴求する。MMLogiStationについては、WMSの改修を最小限に抑えることができるほか、複数のロボットや自動化設備と言った先進機器をプラグインで追加できる機能について、動画やパネルを活用して詳細に解説。「機器の追加で生じるWMSの改修やWMSの肥大化、コスト増大の問題を解決できる強みを訴求するなど、複数の設備と連携させることで生産性の高い倉庫オペレーションを実現できる優位性を紹介します」(森山氏)

その他にも、食品業界向けに展開している「MMEye」(エムエムアイ)の要素技術を活用した、AI(人工知能)による倉庫現場の画像監視ソリューションを紹介。さらにマテハンベンダーフリーのWCS(倉庫制御システム)プラグインのラインアップや、ITカスタマサービスセンターである「Smart Service AQUA」(スマートサービスアクア)の取り組みについても披露する。

新型コロナウイルス禍も収束し、制限のない形での開催となった今回のINNOVATION EXPO。YEデジタルは物流領域におけるビジネス機会がこれまでになく膨らんでいる現状を見逃すことなく、自社の強みを生かした積極的なブース展開で新たな市場の開拓を図っていく。

出展製品
MMLogiStation、物流倉庫向け監視AIソリューション
YEデジタルの出展概要
会期:2023年9月13日(水)〜15日(金)、10時〜17時
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場) 西1-4ホール
ブース:「ロジスティクス最適化ゾーン」ブース番号「1B-04」
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ie/index.html
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LOGISTICS TODAY 2023年7月28日付配信記事
「自動化システムは「普及期」に、WESの将来性も語る」
https://www.logi-today.com/555590