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もう貿易書類の入力・チェックに悩まない、DX一歩手前の壁を打ち破る

貿易特化型AI-OCRで入力・照合を自動化、日商エレ

2023年8月24日 (木)

話題貿易DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている。その多くは書類や取引の共有プラットフォームであり、コミュニケーションの円滑化を図るソリューションだ。しかしそれだけでは、結局のところ入力とチェックの作業が手元に残ってしまう。書類と情報の量が多すぎる貿易業務では、DX以前にデジタル化の壁が立ちはだかるのだ。

貿易特化型AI-OCRの「Trade Hub」

▲アプリケーション事業推進部副部長の木村悦治氏

日商エレクトロニクス(東京都千代田区)は、船積み書類の入力から高度なチェックまでの自動化を目指し、貿易業務でのDXにおける障壁を克服するサービスを提案する。同社は画像データのテキストを文字データに変換する技術「AI-OCR」をサービスとして取り扱ってきたが、過去5年間にわたって同社に寄せられた相談は、「9割以上が貿易処理での手書き入力やチェック作業の相談だった」と、アプリケーション事業推進部副部長の木村悦治氏は振り返る。これらの顧客のニーズに対応するAI-OCR技術を進化させてきた同社は、そこで得たノウハウをもとに、文字認識率90%台後半まで精度をあげたデジタル化・自動化ソリューション「Trade Hub」(トレードハブ)を近日リリースする。

トレードハブは、船積み書類に特化したAI-OCRを中心に構成される。スキャンした船積み書類をアップロードすると、AI-OCRが書類に記載されている文字をデータ化し、書類間の項目を自動的にチェック、Excelで照合結果を確認できる。現場の担当者は、ロボットがNGと判断した部分のみを確認・修正すればよい。管理データとしてシステムに自動登録できるため、貿易データの見える化にも貢献する。

▲「Trade Hub」サービス概要(クリックして拡大)

このソリューション導入により、これまで時間を要していた膨大な書類の入力やダブルチェックの工程がほぼ自動化されるため、「貿易実務に携わるチームを、より生産性の高い、機動力がある専門的なチームに変革できる」(木村氏)という。

目視で読めない文字もデータ化

では、なぜ船積み書類に特化したAI-OCRでなければならないかーー。一般的に船積み書類は、特有の小さい文字や、フォーマットの罫線を無視した文字、メモ書き、ファクスによる文字のつぶれなどがあり、通常のAI-OCRでは高い精度で文字を読み取るのが難しい。木村氏も「当初はかなり苦戦した」と語るが、その課題を克服できたのは、同社がこれまで5年間にわたり、顧客とともに培ってきた経験値と開発力だった。

「今では目視で見ても読めない文字が正しく読み取れます。なぜなら過去の学習から、どこに何が書かれているか傾向がわかるからです」(木村氏)

一方で、90%台後半の文字認識率を誇るとはいえ、数%の識別エラーや内容の誤りを探す手間がかかってしまっては、やはり人間の手が必要。従来のAI-OCRがはらむ課題である。この点について木村氏は「荷主、フォワーダーなどさまざまなプレイヤーが発行する書類には、同じ項目が記載されています。いくつもの書類を横断してチェックすることで、識別エラーや誤りを自動的にNG箇所として抽出できます」と、トレードハブの強みにふれる。

▲AI-OCRによる高精度なデータ化(クリックして拡大)

「100行、200行の明細を打ち込む作業は大変」

▲自動化が可能な人手業務(クリックして拡大)

こうしたDXに向けた取り組みに対して「人の仕事を奪うのでないか」という声もある。ただ貿易実務において、本来重要なのは国際輸送のコーディネート力や臨機応変な対応力であって、書類の入力や確認の工程ではない。この工程に人手をかけることがなくなれば、「通関士の人数で書類がさばける分しか仕事を受けられない」といったこともなくなるのだ。

また、木村氏はこれまで現場の状況をみてきた中で「特に100行、200行にわたって明細を打ち込むような荷主企業の作業は大変」だと理解を示す。こうした課題感を胸に「受注・発注から流れるようなサービスにしていきたい」と展望を明かした。

▲貿易実務の比較(クリックして拡大)

9月13日から15日にかけて開催される「国際物流展2023 INNOVATION EXPO」では、トレードハブが出展される。「貿易書類をデータ化したあとに実現したいことをヒアリングし、個別に課題の洗い出しや提案が可能」だという。貿易DXプラットフォーム活用の一歩手前、アナログ業務からの脱却に課題を感じている企業は足を運んでみるとよいだろう。

「Trade Hub」(トレードハブ)

問い合わせ先:dl-sales@nissho-ele.co.jp

第3回 INNOVATION EXPO

会期:2023年9月13日(水)〜15日(金)、10時〜17時
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)西1-4ホール
ブース:その他物流支援ゾーン「2Q-10」
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ie/index.html