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衝撃に敏感な荷物を積み込む/ドライバー日誌第30回

2023年9月11日 (月)

(イメージ)

話題午前8時。集合時間よりも30分早く到着した。自宅から大阪国際(伊丹)空港までは1時間あまりの時間を要する。不測の渋滞も考慮すれば、さらに30分は余裕を持って出発する必要がある。早く到着しても決して損はないが、遅れてしまえば荷物の搬送に支障が出てしまう。絶対に避けなければならないのが、集合場所への遅刻だ。

この日は、2人でコンビを組んで医療用精密機器を兵庫県内に運ぶ仕事だ。機器は2台。ちょっとした衝撃で機器の機能が喪失してしまうという、なんとも繊細な代物らしい。「とにかくショックを与える取り扱いは絶対にしないように」。定刻で合流した、コンビを組む男性のベテランドライバーからは、改めてクギを刺された。

空港の旅客ターミナルに隣接した国際貨物の取り扱いスペースで荷物を積み込む。箱は高さが1メートルほどで、小型洗濯機ほどの大きさだが、確かにずっしりと重い。側面には大きな文字で「衝撃厳禁」を意味する表示が数か国語で表記されている。使用時だけでなく常時、衝撃を含めた機器の状態が計測されているのだ。

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箱の下部に車輪が2個、装着されているので、ゆっくりと転がして軽バンの荷台に寄せていく。軽バンに積む際は、2人で手分けしながら、1人が荷台に入って箱の底面を引き上げ、もう1人が外から持ち上げる格好で、衝撃を極力なくすように滑り込ませるそれでも、2台を積み込むのに10分足らずで完了した。

積み込みに先立ち、伝票のチェックも忘れてはならない。海外からの輸入品であり、あらゆる情報が英語と数字だけで記載されている。機器メーカーの日本法人に返送するもの、兵庫県のメーカーの物流拠点で担当者に渡すもの、そして運送会社で保管しておくもの。10枚ほどの書類には、それぞれ異なる意味がある。こうした伝票処理も、配送ドライバーの重要な仕事なのだ。(つづく)

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