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法人向け輸送の心得/ドライバー日誌第29回

2023年9月5日 (火)

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話題「明日の朝8時半に、大阪国際(伊丹)空港の近くの駐車場に集合してください」。私が配送業務を受託している運送会社の配車担当者からの電話だ。すぐに業務内容の概要書もメールで届いた。どうやら、航空貨物として運ばれてきた医療用の精密機器を、関連企業の物流センターに輸送する仕事らしい。

こうした法人向けのいわゆる「BtoB」配送。同じ軽貨物による輸送サービスであっても、商品を個別に宅配する場合とは事情が異なる。輸送業務を発注する事業が商品を指定し、決められた行程を指定時間内に運ぶ。商材は一般消費財から工業部品まで幅広い。近年は、医療用の精密機器に関する輸送案件が増えているようだ。

ここで、法人向け輸送に欠かせない準備について触れておこう。訪問先である物流センターや工場などは、あらかじめ物流業務で敷地内に入る車両に求めている条件がある。輪止めやヘルメットなどの安全装備品の有無がその一例だ。輪止めは、軽貨物の場合は前輪の少なくとも片方に装着する。

車両を止めて荷物の搬出入を行う際に、タイヤの前後に装着するもので、金属製や木製、樹脂製のものが多く出回っている。傾斜地でなくても、荷台での作業中に車がひとりでに走り出し、通行人に危険が及ぶ事態を未然に防ぐための取り組みだ。

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さらに、工場ではヘルメットの着用を義務付けているところもある。工場内の作業員ももちろん、安全には細心の注意を払っている。とはいえ、様々な条件が重なれば、不測の事態がいつ発生しないとも限らない。ヘルメットだけであらゆる事故を防げるわけではないものの、少なくとも安全に対する注意を払う意識を高めることで、構内での荷物の搬出入をスムーズに進められるのは間違いない。

さらに、軽バンの荷台に荷物を固定するロープやバンドを装備しておくことも忘れてはならない。走行中には様々な要因で振動が発生する。くぼんだ路面や坂道での走行、さらに急ブレーキを要する不測の交通状況。とはいえ、こうした要因で荷物が損傷しても、それはドライバーの責任だ。輸送において避けて通れないのが、こうした積載物の品質を損なうことなく届ける義務だ。(つづく)

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