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労働環境改善のため声を上げて、トラックGメン

2024年1月26日 (金)

関心の高い話題を掘り下げる「インサイト」。今回は1月26日公開の「トラックGメンがヤマトなど2事業者に勧告」「『要請』も大幅増加、勧告実施で緊張感高まる」をピックアップしました。(編集部)

行政・団体本誌では、26日の国土交通省によるヤマト運輸、王子マテリア(東京都中央区)に対する勧告・公表を受け、トラックGメンを運用する国土交通省・トラック荷主特別対策室の担当官への取材を行った。

担当官によると、今回公表した「働きかけ」「要請」「勧告」は、昨年9月から10月にかけて実施した全トラック事業者対象の調査や、プッシュ型情報収集などで得られた情報をもとに実施。なかでも勧告(公表)は、「要請後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由」がある場合に行われるが、この「疑うに足りる」とは、複数の事業者から同様の情報が寄せられたり、聞き取りにおいて「確度の高い情報」が得られたりした場合に、総合的に判断するという。

▲トラックGメンによるサービスエリアでの調査の様子。昨年11月の集中監視以降も、各地で積極的な調査が続けられている。(出所:中部運輸局)

また、「勧告」「要請」などの対象事業者には、トラックGメンから違反原因行為の早急な是正を促すとともに、改善計画の提出を指示しているが、この提出期限は違反原因行為の内容や状況によって個別に設定しており、おおよその目安としては、3〜6か月以内の提出を求めているという。加えて、対象事業者には、その事実関係を調べるよう要請し、報告も求めている。今回「勧告」の対象となった2社は、前回の要請後に事実関係の報告と改善計画を提出し、トラックGメンもフォローアップを実施していたが、「要請後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる」と判断された。

ヤマト運輸については、前回「要請」に至った違反原因行為が「過積載運行の指示」の1項目だったが、今回はこれに「長時間の荷待ち」「契約にない付帯業務」「運賃や料金の不当な据え置き」「その他の無理な運送依頼」の4項目を加えた5つの違反原因行為が公表された。勧告に至った直接的な理由は、「過積載運行の指示」が、「要請後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる」と判断されたことだが、トラックGメンとしては、これまでの調査で浮上した新たな4項目についても「要請」に相当すると判断し、「複数の違反原因行為を早急に改善してもらう必要がある」との理由から、5つの違反原因行為を公表。これらの行為については、複数の事業所に対する情報が寄せられていたという。

トラック運送事業者の道路交通法違反や過労運転防止措置義務違反につながる「過積載運行の指示」や「長時間の荷待ち」は、荷主や元請け事業者の主体的な関与が認められる場合、荷主勧告制度に基づく「勧告」「公表」の対象にもなりえる。主体的でなかったとしても、荷主の関与が認められた場合には「警告」が発せられ、3年以内に同様の事案が再発した場合には「勧告」「公表」となる。

取材に応じた担当官は、「2024年問題は4月1日で終わりではなく、始まりであることを広く認識してもらいたい。トラックGメンの取り組みは、トラックドライバーの労働環境の改善に向けたもの。寄せられた情報はGメンがしっかりと受け止め、荷主に対する働きかけやフォローアップにつなげていくので、ぜひ声を上げてほしい」とコメントしている。

トラックGメンがヤマトなど2事業者に勧告

「要請」も大幅増加、勧告実施で緊張感高まる