調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は21日、2023年の軽貨物運送業動向調査の結果を発表した。それによると、同年の倒産は49件、休廃業・解散が74件で、それぞれ1989年、2000年の統計開始以来最多となった。
新型コロナウイルス禍により宅配市場が拡大し、軽貨物運送事業者が増加した一方で、燃料高騰や運賃への転嫁の遅れ、下請け構造、競争激化などで「利益なき成長」に陥っていると、TSRは分析。今後さらに淘汰が加速する可能性が高まっているとしている。
軽貨物運送業269社の売上高は前年比10.4%増の1796億1200万円、最終利益が同41.2%増の23億6300万円と増収増益だったが、コロナ禍前の19年との比較では、売上高21%増に対し、最終利益は36.1%減となっている。
軽貨物運送業の倒産は36.1%増の49件で、負債総額は3倍の30億200万円。負債5億円以上の倒産が2件あり総額を押し上げたが、1億円未満が44件と9割を占めるように小・零細企業が中心だった。39件は従業員数「5人未満」だった。
倒産の原因としては、「販売不振」が38件と最も多く、「過少資本」と「他社倒産の余波」が3件ずつあった。形態別では「破産」が46件と9割超が消滅型で、そのほかは「民事再生法」が2件、「取引停止処分」が1件だった。
休廃業・解散は過去最多を5年連続で更新。TSRによると、コロナ禍での市場拡大を受けて新規参入が相次いだが、競合が激化するにつれ市場競争から脱落した事業者が増加してきたという。コロナ禍では巣ごもり需要をあてにした安易な参入組も増え、ゼロゼロ融資をはじめとするコロナ関連の資金繰り支援策で一息ついたが、支援の縮小や終了とともに一気に増加したとしている。
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