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4車線化進む圏央道・境古河IC至近で大和ハウスが先陣

産業集積地のポテンシャル生かす「DPL境古河」

2024年4月25日 (木)

話題人手不足と地価・建築費の高騰、物流の2024年問題を契機としてサプライチェーンの見直しが進むなか、茨城県西部で埼玉県・千葉県と交差する境古河エリアの物流需要が急速に高まってきている。

都心から50キロ、東名高速道路から東関東自動車道までをつなぐ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の中央に位置する境古河インターチェンジ(IC)に隣接し、東北自動車道、常磐自動車道にもアクセスしやすい絶好の立地に、先陣を切って完成を迎えようとしているのが、大和ハウス工業の大型マルチテナント型物流施設「DPL境古河」(4月末完成予定)だ。

▲4月末に竣工を迎える「DPL境古河」の外観(24年4月17日撮影)

大和ハウスが見せた先見の明、圏央道4車線化で「物流適地」に

大和ハウス工業が境古河の区画整理事業に着手したのは17年のこと。今ではほかの物流不動産デベロッパーも注目する境古河エリアに、いち早くポテンシャルを見出した。同社で物流施設の開発・営業を手掛ける岡田晃伸氏(東京本店建築事業部営業第4部)は「もともと生産拠点のニーズが高い地域ではあったが、今後さらに産業集積が進むことで物流需要も伸びてくる」と予見し、事業に乗り出したと当時を振り返る。

▲東京本店建築事業部の岡田晃伸氏

これを他力本願ではなく、自ら事業用地(DPIシリーズ)と物流用地の一体開発で実現していくのが大和ハウス工業の最大の強みだ。境古河エリアでは、圏央道・境古河ICに隣接する24.6ヘクタールの産業用地を取得し、その中央に位置する最大区画に「DPL境古河」を開発。これを囲むように工業・生産拠点用地が配されている。

こうした地方創生ともいえる開発事業を進めていくなかで、物流需要が高まる決定打となった出来事が、「圏央道4車線化」の決定だった。これにより、広域配送拠点としてのポテンシャルがさらに高まり、物流用途の引き合いが急激に強まったという。

交通面では、境古河ICから東北道と常磐道の両方にアクセスしやすいだけでなく、4車線化で関越道や中央自動車道、東名高速、東関道へのアクセスも向上。羽田や成田など主要空港と東京港も圏内に捉える。24年問題対策の観点でいえば、主要高速道路へのアクセスが向上することで、時間外労働規制が強化された長距離トラックドライバーの働き方改革に寄与する。


▲(左から)周辺詳細地図、広域図(クリックで拡大)

テナントの自動化促進へ独自施策、労働力確保に強み

しかし、大和ハウス工業が先陣を切って開発を進めたことで、物流需要の増加を見込んだ賃貸型物流施設の開発も同地周辺で進められている。新たな産業集積地の誕生により、労働力の確保も課題に上がるなか、「DPL境古河」独自の強みとは一体何か。

「DPL境古河」では、保管需要の高まりを見据え、延床面積12万6660平方メートルの巨大スペックを用意した。テナント企業に対しては、Hacobu(ハコブ)社が提供するトラック予約受付システム「MOVO Berth」(ムーボバース)の基本機能を無料で提供し、荷待ち問題の解決を促す。大型トラック対応の待機場も10台分を完備する。さらに、グループ会社でWMS(倉庫管理システム)を提供するフレームワークス、自動化ロボットなどを駆使したフルフィルメントサービスを手掛けるアッカ・インターナショナルなどと協力し、コンサルティングやロボティクスの提案なども行う。

▲東京本店建築事業部の冨山凌生氏

こうした独自のテナント支援策が、労働力確保にも効果を発揮する。従業員の負担を軽減する効率化・自動化を支援することで、女性や高齢者などにも幅を広げ、新たな雇用を創出するなど、テナント企業の人手不足解消に寄与する。営業担当の冨山凌生氏(東京本店建築事業部営業第4部)は、「まずはテナント企業が扱う荷物の種類や運営体制の要望を聞き、必要であればソフトとハードの両面で提案を行う。在庫保管型拠点の効率化からEC拠点の自動化まで、柔軟に対応できる」ことが、「DPL境古河」と同社グループの強みであると語る。

また、「DPL境古河」では、BCP対策として「圏央道沿いでは珍しい」(冨山氏)免震構造を採用した。周辺エリアで生産拠点を持つメーカーにとって、震災やコロナ禍を経てBCP対策は喫緊の課題になっている。免震構造による持続性は大きな魅力に映るだろう。環境面の持続性では、建築物の省エネ性能評価であるZEB認証を取得。今後は、屋上に自家消費型の太陽光発電設備も敷設する予定だ。非常用電源も常備している。

昨今の地価と建設費の高騰により、メーカーにとっては生産拠点と物流拠点を併設することが、コスト面で難しくなってきている。大和ハウス工業は、「限りある資産を生産設備に集中してもらい、外部倉庫としてDPL境古河を使っていただく」(冨山氏)など、同エリアの産業集積地としてのポテンシャルを生かした提案を行っていく構えだ。

「DPL境古河」概要

所在地:茨城県猿島郡境町みらい平2-3-1
敷地面積:5万8438平方メートル
延床面積:12万6660平方メートル
賃貸面積:10万6159平方メートル
構造:4階建て、柱・鉄筋コンクリート造、梁・鉄骨造(免震構造)
完成:2024年4月末(予定)
アクセス:圏央道・境古河ICから1.3キロ、JR湘南新宿ライン・栗橋駅から15キロ、東武日光線・南栗橋駅から12キロ
「DPL境古河」詳細ページ