シダックス、物流ノウハウ生かしベトナム進出

フードシダックス（東京都渋谷区）は19日、昨年合意していたベトナムの大手給食会社ギャラクシー社（ホーチミン市）との資本提携について、ベトナム政府当局から投資許可を得たと発表した。

ベトナムのWTO（世界貿易機関）正式加盟後、ケータリング事業に外資が参入するのは、シダックスが初めて。資本提携により、ギャラクシー社は「ギャラクシー・シダックス」へ社名を変更する。

同社グループのアジア進出は初めてで、ベトナム進出を起点としてアジア周辺諸国へ事業を拡大していく計画。

国内では社員食堂や病院の患者食など、1日平均60万食を提供し、物流子会社「エスロジックス」を通じて食材・消耗品の一元物流の整備、給食の安全性を保証する衛生管理システム「給食サービスHACCP」の策定など、食の「安心・安全」のノウハウを確立してきた。

ベトナムでは、政府主導の外資系企業誘致が積極的に行われている一方で、工場やオフィスへの食事提供は多くが中小事業者によるもので、食材の調達・物流・衛生管理・トレーサビリティの面で課題を抱えている。

こうした背景から、ベトナムで2008年から事業所給食を展開し、日系企業・工場を中心に現在1日平均5万食を提供している給食業界3位のギャラクシー社と資本提携することにしたもの。同社は他社に先駆け、セントラルキッチンの建設に取り組むなど、サプライチェーンの整備にも積極的に取り組んでいる。

5日にホーチミン市人民委員会から投資許可証が発給されたことを受け、シダックスはギャラクシー・シダックス社の発行済株式のうち、同社社長が保有している35％分を取得する。

ギャラクシー・シダックス社の独立性を維持した経営を尊重しつつ、アジア展開の基盤づくりのため、積極的に事業に参画するとしている。

業務面では、ギャラクシー･シダックス社に対し、（1）給食の衛生管理を行う「シダックス・給食サービスHACCPマニュアル」など衛生管理のノウハウ提供（2）エスロジックス事業を活かした食材サプライチェーン構築とトレーサビリティ実現のサポート（3）栄養面の改善サポート（4）大量調理専用機器の導入支援などによる技術向上（5）営業支援――などで連携する。

これらの連携によって、ギャラクシー・シダックス社は日系企業を中心に営業活動を強化し、ベトナム国内初のセントラルキッチンを設置、2014年秋にも営業を開始する。

こうしたサプライチェーン整備を進め、17年には1日当り20万食以上の事業規模とする計画。