調査・データコンサルティングファームのアクセンチュアは18日、成熟したサプライチェーン(SC)を持つ先進企業は、そうでない企業に比べて23%高い収益性を実現しているとの調査結果を公表した。先進企業ではAIをサプライチェーン全体で活用している割合が高く、先進的な次世代サプライチェーン機能は今後の企業経営に不可欠だとしている。
同社は、日本を含む15か国、10業界の1148社におけるサプライチェーンの成熟度を分析した結果を、最新調査レポート「次世代への一歩:サプライチェーンの変革」としてまとめた。サプライチェーンの成熟度とは、企業が生成AIや高度な機械学習などの先進テクノロジーをサプライチェーン全体で活用し、自律的な意思決定や高度なシミュレーション、継続的な改善につなげているかの度合いを数値化したもので、100%が最も高い。
調査結果によると、サプライチェーン成熟度の上位10%の企業(リーダー企業)は2019年から23年の間に、他社に比べ利益率は23%、株主還元率は15%、それぞれ高くなった。
また、サプライチェーン全体で生成AIを含むAIを活用している企業は全体の9%(日本は15%)に過ぎないものの、リーダー企業だけを見ると37%が導入していた。リーダー企業はAIに多くの効果を期待しており、「新製品の開発と発売にかかる時間を30%短縮できるだろう」と回答したリーダー企業は、その他の企業の8倍、「より環境に優しい製品を開発できるだろう」と回答したリーダー企業も、その他の企業の8.5倍、「製造に関わる資源の効率を30%向上できるだろう」と回答したリーダー企業は、その他の企業の6倍だった。
このように先進企業でAIなどの導入が進む一方、全体としてのサプライチェーンの成熟度は依然として低く、23年の平均値は36%にとどまっている。国別にみても、日本が52%だったのに対しメキシコは22%、業界別でも航空宇宙・防衛企業が40%だったのに対し、消費財企業は31%と、国や業界によって差が見られた。
同社は「先進的な次世代サプライチェーン機能は、企業が市場環境で競争力を保つために必須で、グローバル規模でのコストを抑えた調達や、低コストな地域での工場操業といった旧来のやり方に頼ることは現実的ではない」と指摘。「サプライチェーンの成熟度スコアが25%以下の企業(ほぼ3社に1社が該当)は、迅速な対応が求められ、さもなければ生き残りは難しい」と警告している。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com