話題2015年にフランスで設立され、19年に日本上陸、20年北米進出、23年韓国進出と急成長しているExotec(エグゾテック)。その日本法人Exotec Nihon(東京都港区)の看板商品「Skypod」(スカイポッド)は、幅広い機能を提供する自動倉庫ロボットシステムとして、ユニクロやパルグループ、ヨドバシカメラなどにも導入されている。
同社は24年9月10日から13日にかけて、東京ビッグサイトで行われる展示会「国際物流総合展」に出展する予定だ。展示会に先駆けて社長の立脇竜氏にSkypodの強みを聞いた。
自動化だけではない、物流全体を改革するシステム
ExotecがSkypodシステムを中核とした提案で最も重視しているのは、「物流の全体最適」なのだという。サプライチェ-ン全体を俯瞰したトータルソリューション・最適化だ。
全体最適を提案する上で重要なのは、意外にもハードウエアを変えないことだという。ハードウエアは世界展開で得たノウハウを詰め込み、標準化している。すなわち、顧客の細かな要望を吸収し応えるのは、ソフトウエアの領分だ。
「われわれのシステムはハードウエアが注目されるが、実は投資の8割はソフトウエア」と立脇氏。ロボットだけではなく、シリーズ他製品や他社のシステムなども組み合わせ、それらをつなぐソフトウエアを導入することで、全体を1つのシステムとして管理できるようになる。ソフトウエアには柔軟性を持たせ、さまざまな変化にも対応可能だ。「物流システムの全体を改革できるようなソリューションをシステムとして提供する」ことが、同社の理念である。
また、顧客の表面の要望が本質的な問題であるとは限らず、一部の工程だけを効率化しても導入の効果は限定的だ。そのためExotecでは、守秘義務契約を締結して業務情報を提供してもらい、本質的な問題を解決するためのソリューションを提案している。「提案の上で重視していることは、Skypodのシステムがビジネスを伸ばす原動力になることと、確実な投資回収ができること。何年程度で回収できるかもあわせて提案する」(立脇氏)
提案の内容は倉庫内のオペレーションに留まらずサプライチェーン全体にまたがる最適化に及ぶ。例えばSkypod導入効果として、Eコマース注文の出荷時間大幅削減、トラックドライバーの荷待ち時間の削減などが挙げられる。Skypodシステムは、B2B、B2C向けの注文、オムニチャネルのフルフィルメントを一つのシステムで処理できる。また、ピースピッキングとケースピッキングを同一システムで扱える上、業態別・方面別・店別・棚別に応じた順立て出荷が可能など、サプライチェーン全体の最適化に貢献する。
▲搬送ロボットが倉庫内を自在に移動し、商品の入ったコンテナを作業者へ届ける
稼働率98パーセントを保証
Skypodの最大の強みは、信頼度の高さである。Exotecは導入契約に数値保証を含めているが、保証システム稼働率は、なんと98%。直近1年の稼働率実績は驚異の99%を誇る。「実際の運用でも資料通りの数値を出し、オーダー数が増えても稼働率は下がらない」と立脇氏はサラリと言ってのける。
同社ではセールスエンジニアが営業段階からコンサルティングを始める。契約後はハードウエア、ソフトウエアの両面で、顧客の要望を実現するためのシミュレーションを行い、設置を進める。そして引き渡し後は、現場での定期的なメンテナンスに加え、日本・フランス・アメリカのコントロールセンターで24時間365日のモニタリングを行い、有事の際はすぐに介入する。発生する問題の9割はリモートで解決できるという。導入後のビジネス成長に合わせたラック拡張なども自由自在で、稼働中のシステムの停止時間はほとんど発生しない。日本でも拡張に向け、すでに動いている企業がある。
国内大企業に選ばれているのも、メンテナンスサポートを含むトータルソリューションとして評価されたからだ。「われわれは、システムを入れて終わりではなく、導入したところからがスタートだと考えている。製品としても自信はあるが、ビジネスモデルとして評価いただいている」(立脇氏)。
豊富な展開事例
デベロッパーとの共同開発や国内物流機器企業との提携も盛んだ。IHIやオークラ輸送機とはインテグレーションパートナーであるほか、従来を超える天井高の物流施設の設計や、複数荷主を1システムで管理するしくみづくりなど、開発例も増えてきている。「天井を高くすれば容積貸しを提案でき、デベロッパーのコスト回収も早くなる」と立脇氏は語る。
日本の物流を変えるソリューションを提供
日本の物流問題を踏まえ、Skypodを中心としたツールで、「一部分だけではなく、物流の全体が回るソリューションを提供していくことが、われわれの使命だと思っている。日本の物流を変えていく1つの助けになれば」と立脇氏。他のサプライヤーとも協力しつつ、Exotecが全体の仕組みをつくって提供を続けていく。
国際物流総合展では、Skypodロボットのデモンストレーション展示が行われるほか、バーチャルツールでさまざまな導入シミュレーションを見ることもできる予定だ。日本と韓国でビジネス基盤を確立した後は、日本をアジアの中心拠点として、アジア各国にも展開していく計画がある。世界展開を加速させるExotecの「全体最適」の一端を、実際に目にしてほしい。
カテゴリー:保管・輸配送最適化
ブース番号:3-110