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協働ロボットの出荷台数は10年後、7倍超に

2024年8月5日 (月)

調査・データ矢野経済研究所は8月5日、協働ロボット世界市場に関する今後の見通しを公表し、2033年、協働ロボットの世界での出荷台数は68万台を超え、24年度の7.4倍に拡大すると予測した。

同社によると、24年の協働ロボットの世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで9万2496台となり、前年比147.9%に達すると見込まれる。出荷台数は今後も増える見通しで、33年の出荷台数は68万1021台になると予測される。

国や地域別に導入状況をみると、中国では、協働ロボットメーカー各社が自動車やエレクトロニクス業界の中でも、自動化があまり進んでいない中小企業を中心に営業を強化している。非製造業でも、カフェのバリスタ用や飲食店の調理用など飲食業界、医療や農業分野から引き合いが増加している。

欧州では、電気自動車の普及拡大にともない、二次電池やエレクトロニクス部品などを製造する関連業界の生産量が増加する見込みで、人手作業に依存していた繰り返し作業を中心に、ロボットメーカーが協働ロボットの提案を強化している。一方、米中関係の悪化で米国への輸出環境が厳しくなった中国メーカーが、ターゲットを北米から欧州へ変更する動きも強まっている。

米州では、人件費の上昇や原材料費の高騰が急速に進み、自動車業界を中心に協働ロボットなどによる生産自動化のニーズが高まっており、協働ロボットのメーカー各社は、設備投資が拡大している自動車や二次電池、半導体の業界を中心に営業を強化している。非製造業向けでは、韓国のメーカーが飲食業界向けに調理用やバリスタ用のロボットの営業を強化。さらに、米国国内では、中国市場と同様、マッサージ用ロボットが注目され始めている。

日本では、製造業で自動化に向けたロボット導入の引き合いが増加。世界の主要な協働ロボットメーカーが日本市場に参入し、業界や用途に特化した多様な仕様や価格帯の製品を展開し、シェアの拡大に取り組んでいる。

韓国市場では、協働ロボットの活用を拡大する動きが造船業で活発になっており、防衛産業の戦闘機製造工程や電線業界、スマート農業、病院の手術用、空港やカフェなど、さまざまな用途での導入が進んでいる。

最近の研究、開発の傾向としては、ICTとAI技術を組み合わせて、人間と協働ロボットが相互作用し、非定型の作業環境に対応できるロボットが注目を集めている。関連技術として、IoT(センサー、データ収集)や無線・高速通信(データ送信)、ビッグデータ・ディープラーニング(データ分析)、ティーチングレス制御、動作教示(ティーチング)を効率化する技術、大規模言語モデル、デジタルツイン、模倣学習などが盛んに研究されている。

こうした研究・開発は、協働ロボットのプログラミングや教示作業を容易にしながら、高度化させるとみられ、作業精度の向上や活用範囲の拡大も期待できる。同社は今後、ロボットを高機能化、高精度化するAIソフトウェア技術が、市場を変革させると指摘している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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