話題効率化、アナログからの脱却は物流業界全般の課題だが、とりわけ労働集約型の業務が貿易の分野と言える。いまだに紙ベースの書類やり取りと、手作業でのデータ入力の工程など、非効率な業務に頼る現場も多く、デジタル化による業務改善が求められる領域だ。
双日テックイノベーション(東京都千代田区)がリリースしたクラウドサービス「Trade Hub(トレードハブ)」は、そんな属人的でアナログな貿易業務を、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって高度な業務への転換を促すサービス。貿易書類をアップロードするだけで、煩雑な照合チェック、諸掛費用や消費税、関税などの計算から、自動書類作成、関連システムへの登録まで、貿易に関わる一連の作業工程を自動化できる。
トレードハブの事業責任者である木村悦治氏は、「ことし4月の本格的事業スタートから、すでに100社近い商談のうち、30%近くが導入検討に進んだ」と語る。わずか3か月でこれだけの反響があるのは、非効率な貿易業務への課題感の大きさとともに、貿易手続きのデジタル化を行う「貿易プラットフォーム(PF)」の利用が十分浸透していない背景があると指摘する。「経済産業省は、2028年度までに、貿易PFを通じてデジタル化される貿易取引の割合を10%にする目標を掲げているが、現状では0.1%程度に留まっている。貿易PFが、取引関係各社の共通PFとしてスムーズな連携を実現するには、まだまだ調整時間が必要。ユーザーが求めているのは今すぐに使えるDXツールだと言うことも、問い合わせが多い要因ではないか」(木村氏)。2030年に向けて、貿易知識を持ったプロ人材の高齢化、退職も進むなど対応は急務である。待ったなしの状況であるが故に、今、使える有効なクラウドDXサービス・トレードハブが関心を集めているのだ。
導入事例が実証する、貿易業務効率化、作業工数削減効果
すでに導入企業での運用も始まり、トレードハブの実証事例が具体的な数字として報告されている。
ある荷主企業の輸出業務においては、トレードハブの輸出書類自動作成の機能により、これまでの手作業での入力業務と比較して40-50%の作業工程削減効果が得られた。
また、輸入業務においては、契約から輸入計上に至る1つの取引において25のプロセスを必要としていたが、トレードハブはそのうち「契約書からのデータ生成、システムへの自動登録」「船積み荷との自動照合」「原産地証明の自動照合」など10プロセスにおいてサービス適用できるため、工数の3分の1でのプロセス削減を実現している。
他にも、案件単位のPDF分割や、案件担当者ごとへの配布、案件担当者ごとの入力を必要としていた帳票仕分け業務において、書類のアップロードだけで同業務は完全自動化、作業時間が97%削減され、導入効果は絶大だ。
実務現場では、トレードハブにより短時間で大量のデータを正しく入力しチェックすることが可能になり、ディスクレ(船積書類と信用状の不一致)等による心理的なストレスも軽減されたという報告も上がっている。
「紙やPDFベースの運賃請求書の自動計算、自動登録する機能も、効率化効果が顕著。請求書のデータ化と自社システムへのコード変換処理作業には、まず請求書類の項目ごとに該当コードを追記する担当者、そのコードを入力する担当者、さらにそれをチェックする担当者と、非効率な工程をいくつも要する現場も少なくないだけに、DXの効果を実感しやすいと評価されている」(木村氏)
課題解決の知見と実績が、貿易現場の困りごとへの回答を可能にする
こうした現場が今必要とする課題解決に生かされているのが、総合商社を中心に、さまざまな貿易業務のデジタル化に取り組んできた同社のノウハウである。貿易業務のニーズや実情を熟知したAI-OCR技術など、現場の困りごと解決に特化したサービス提供が強みだ。木村氏は、「トレードハブでは導入効果を直感できるような操作性、ユーザビリティーの改良など、現場の人の使いやすさ、働きやすさ、導入しやすさを重視した機能強化を進めることで貿易業務効率化に貢献したい」と語る。
双日テックイノベーションは、9月に開催される「国際物流総合展2024」にトレードハブを出展する。本格的な事業開始から5か月での出展だが、貿易業務課題の解決のためにこれまで積み上げたノウハウの集大成として、課題感を持った来場者からの評価を楽しみにする。「今そこにある貿易の困りごとを相談してもらえれば、回答を用意できるはず。まずはブースに足を運んでもらいたい」(木村氏)
■問い合わせ先:tradehub-sales@sojitz-ti.com
カテゴリー:物流業務改善支援
ブース番号:6-102